Mycobacterium infection in swine
病気の概要
別名 |
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原因 |
Mycobacterium avium-intracellulare complex 細胞壁の脂質抗原により1~28型に分類される。1~6、8および9はトリ型結核菌M. avium subsp. avium に、他はM. intracellulare に分類される。 |
疫学 |
世界中に分布する。我が国では、敷料として輸入木材のおがくずを大量に使用したことに伴って症例が増加した。出荷肥育豚の有病率は30~80%にも達することがある。 |
症状 |
ほとんど無症状であり、病変は主として食肉衛生検査時に発見される。他の疾病により死亡した豚で偶発性に病変が観察されることもある。 |
肉眼所見 |
原因菌は咽頭部や小腸粘膜から侵入し、扁桃、腸管粘膜固有層、下顎リンパ節および腸間膜リンパ節に粟粒~小豆大の乾酪化病巣を形成する。病変は空腸リンパ節に最も高頻度に観察される。 |
組織所見 |
典型的な肉芽腫性病変が観察される。すなわち、中心部の壊死病巣は多核巨細胞を混じえた類上皮細胞層によって包囲され、その外層ではリンパ球浸潤と線維増生がみられる。壊死病巣内には石灰化がしばしば観察される。抗酸菌染色標本では、抗酸菌が主として壊死組織内あるいは多核巨細胞内に認められる。観察される菌の数は、散見程度~極めて少ない。母豚では乾酪壊死は殆どみられず、微小な石灰化病巣が観察される。 |
病理組織像 Histopathology
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腸間膜リンパ節、豚、約6カ月齢、感染病理No.5279(原図:村山修吾) リンパ節実質内に大きな壊死巣が形成されている。 HE染色,ルーペ拡大 |
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腸間膜リンパ節、豚、約6カ月齢、感染病理No.5279(原図:村山修吾) やや小さな壊死巣が散発している。リンパ節正常部では、濾胞の過形成が明瞭である。 HE染色,ルーペ拡大 |
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腸間膜リンパ節、豚、約6カ月齢、感染病理No.5279(原図:村山修吾) 大きな壊死巣と小さな壊死巣が観察される。それら壊死巣の周辺では、壊死を伴わない小さな肉芽腫が多発している。 HE染色,×20 |
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腸間膜リンパ節、豚、約6カ月齢、感染病理No.5279(原図:村山修吾) 大きな壊死巣の周辺部。壊死巣は類上皮細胞と線維組織によって包囲されている。 HE染色,×100 |
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腸間膜リンパ節、豚、約6カ月齢、感染病理No.5279(原図:村山修吾) 上の写真の拡大。 HE染色,×200 |
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腸間膜リンパ節、豚、約6カ月齢、感染病理No.5279(原図:村山修吾) 壊死巣を包囲する類上皮細胞。類上皮細胞は類円形の明るい大きな核と豊富な細胞質を持ち、隣り合った細胞同士の境界は不明瞭となっている。 HE染色,×400 |
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腸間膜リンパ節、豚、約6カ月齢、感染病理No.5279(原図:村山修吾) 壊死巣を包囲する類上皮細胞層内には、多核巨細胞が散見される。 HE染色,×400 |
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腸間膜リンパ節、豚、約6カ月齢、感染病理No.5279(原図:村山修吾) 壊死巣内に認められた石灰沈着。 HE染色,×400 |
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腸間膜リンパ節、豚、約6カ月齢、感染病理No.5279(原図:村山修吾) 壊死巣内に認められた多核巨細胞の集族。 HE染色,×400 |
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腸間膜リンパ節、豚、約6カ月齢、感染病理No.5279(原図:村山修吾) 壊死巣の高拡大像。多核巨細胞の細胞質内と周囲の壊死組織内に、赤く染まった抗酸菌が散在性に観察される。一般的に考えると標本中の菌数は少ないが、豚抗酸菌症ではこの程度観察されれば多い方である。本症例は、今回検索した豚郡中で、最も多くの抗酸菌が検出された症例である。 チール・ネルゼン染色,×1000 |
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腸間膜リンパ節、豚、約6カ月齢、感染病理No.5279(原図:村山修吾) 壊死組織中に散在する抗酸菌。 チール・ネルゼン染色,×1000 |
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腸間膜リンパ節、豚、約6カ月齢、感染病理No.5279(原図:村山修吾) 壊死巣周囲に多発していた小肉芽腫。中央部の壊死は軽度であり、病巣は主として類上皮細胞により構成されている。 HE染色,×200 |
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腸間膜リンパ節、豚、約6カ月齢、感染病理No.5279(原図:村山修吾) 上の写真の拡大像。 HE染色,×400 |