生物機能利用研究部門

昆虫利用技術研究領域

昆虫はカイコやミツバチ等以外の種ではほとんど有効利用されていない未利用資源です。同定された地球上の生物(約175万種)の約6割が昆虫(約95万種)で、多様な機能を有し、その特殊機能により過酷な環境を生き抜いてきました。農業では花粉媒介者(ポリネーター)や生物農薬として天敵昆虫の利用例があります。また、タンパク質の需要が供給を大きく上回るタンパク質危機への対応のために、家畜・養殖飼料や人の食料におけるタンパク質源としての昆虫利用も期待されています。しかし未だ昆虫の機能を最大限に活用できていない現状です。また安定的かつ持続的な食料供給のためには、病害虫管理では今後も化学農薬は重要な生産用資材となりますが、環境への負荷や害虫の薬剤抵抗性の発達などの問題解決が必要です。
昆虫利用技術研究領域ではゲノム情報やAI等を活用した昆虫の有用形質の解析・機能改変等により有用昆虫の機能強化やそのゲノム情報を利用する技術、例えば、食品ロス・農業残渣等の有機性廃棄物で育てることができる腐食性昆虫を養殖飼料等のタンパク質源として利用する技術の開発を進めていきます。さらに害虫特異的な制虫剤、昆虫微生物や耐虫性素材等の生物間相互作用を活用した革新的昆虫制御技術の開発を目指した研究開発を進めていきます。

領域長

安田 哲也 (やすだ てつや)

所属研究グループ