
搾乳と搾乳の間、乳頭および乳頭口を物理的に保護する乳頭保護資材(主原料:ラテックス)を開発し、乳房炎感染のリスク低減を図ります。
家畜の快適性に配慮した飼育管理は、OIEを中心とした規約策定など、国際的に基準策定に向けた様々な取り組みが行われており、わが国でも平成23年にアニマルウエルフェアの考え方に対応した飼養管理指針が公表され、周知・普及の取り組みが進められてきています。さらに、農林水産省は平成27年に制定した酪農及び肉用牛生産の近代化を図るための基本方針および家畜改良増殖目標において、わが国の家畜生産の競争力強化と家畜の能力向上に資する取り組みとして、家畜の快適性に配慮した飼育管理を推進することを求めています。家畜を快適な環境で飼育することは、家畜本来の能力を最大限に発揮させることによる生産性の向上や、ストレスに起因する免疫力低下による疾病を防止することにもつながることから、飼育環境の快適性を確保するための技術対応への期待は大きいです。そこで私たちは平成28年度から32年度の5年間をかけて以下のような3つの取り組みを行います。
- 不適切な光線管理は成長ホルモンやメラトニンなどの内分泌機能を乱すことが分かってきており、快適性や生産性にも影響すると考えられます。そこで、光の質と量が成長期のウシの内分泌機能に及ぼす影響を明らかにすることで、育成期において健全かつ最大の成長を得るための畜舎内光環境条件を提示します。
- 呼吸器系疾病や乳房炎などの細菌感染につながる畜舎内の衛生環境も、飼育環境の中で重要な位置を占めます。新たな乳頭保護資材の開発や緻密な畜舎内空気環境制御法の開発によって衛生環境を向上させ、感染リスク低減効果を明らかにします。
- 家畜の快適性を向上させる上で、飼育環境の評価は不可欠ですが、家畜の生理反応等から客観的に評価する手法は未だ確立されていません。そこで、自律神経機能と行動との関連およびそれらのリズム性を指標とする新たな快適環境評価手法を開発します。