所長挨拶
農村工学研究部門(農工研)は、1950年に発足した農林省農業技術研究所農業土木部、九州農業試験場干拓部を起源とし、1961年の農業土木試験場設立、1977年の筑波移転の後、2001年の独立行政法人化等を経て、2006年より現在の農研機構の研究機関となりました。農工研は、設立以来、農村の振興に貢献する技術開発を中核的に担うとともに、農地・農業用施設の災害対策への技術支援を機動的に行っています。
農研機構は、農業・食品分野における「Society 5.0」の実現によって、
- 食料自給率向上と食料安全保障
- 農産物・食品の産業競争力強化と輸出拡大
- 生産性向上と環境保全の両立
に貢献することを目標としています。その中で、農工研は、「農業インフラのデジタル化による生産基盤の強靭化」をテーマとして研究開発に取り組んでいます。
その中では、農業水利施設の老朽化への対応、頻発化・激甚化する豪雨や地震等による被害の低減、地域資源を活用した地産地消型エネルギーシステムによる環境負荷の削減等の農村、農業インフラを取り巻く諸課題に対応する研究開発と成果の社会実装についてデジタル技術やデジタルプラットフォームを切り口の一つとして推進しています。
農業農村の課題解決を図るためには、イノベーションの創出とその社会実装が求められます。そのためには、生産者、土地改良区、行政機関、研究機関、大学、民間企業等の多様な分野の人材が連携し、目標を明確にして研究開発に取り組むことが必要です。
農村工学研究部門は皆様と共に、ユーザーが求めているものの一歩先を見据えて技術を開発し、その技術に求められる性能が現場で持続的に発揮できるように取り組んで参ります。
今後とも農村工学研究部門へ皆様からのご支援をいただけますようよろしくお願いいたします。
桐 博英