概要
ユリの香りは、豪華な美しい大輪の花様とともにユリの個性として愛されています。一方でその甘く濃厚な強い芳香は、香りを嫌う場、例えば飲食店や結婚式の披露宴など食事を伴う場では敬遠される傾向にあることから、強い香りはユリ切り花の需要拡大の足かせと言えます。そのような経緯から、農研機構花き研究所では、花き用香り抑制剤を開発しました。ユリ「カサブランカ」切り花に香り抑制剤を処理することにより、香りは無処理のものと比べマイルドになりました。
しかしながら、香り抑制剤処理により障害がでる場合があること、時期や産地により異なる栽培・輸送環境により処理効果が不安定になることから、香り抑制剤の汎用性を高め、現場での使用を可能とするために、香り抑制剤の改良と製剤化、産地ごとの処理方法の開発が必要と考えられました。
そこで、農研機構花き研究所が中核機関となり、クリザール・ジャパン株式会社、埼玉県、高知県、新潟県の研究機関の参画により、農林水産省「農林水産業・食品産業科学技術研究推進事業」にて「ユリ需要拡大のためのユリ香り抑制剤の実用化」を推進してまいりました。本事例集は、その成果をまとめたものです。
ユリの香りがマイルドになることによって、ユリの使用の場が増えるとともに、より多くの人にユリを楽しんでもらえるものと考えます。本事例集が、ユリの需要拡大の一助となることを願っています。
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