農研機構では、施設栽培の野菜にとって重要な害虫であるアブラムシの天敵製剤として、「飛ばないナミテントウ」(遺伝的に飛翔能力を欠くナミテントウ)を開発しました。施設野菜用の生物農薬として販売されていて、一般の生産者の利用が可能になっています。ナミテントウは大量に捕食する能力があり、アブラムシの天敵として注目されてきました。しかし、施設内に放飼しても飛び去ってしまうため、定着しません。そこで、農研機構では、自然界に存在する様々な個体の中から、飛翔能力の低いナミテントウを探しだし、それらを交配することで、遺伝的に飛翔能力を欠くナミテントウを育成しました。「飛ばないナミテントウ」は、幼虫の段階で製剤化することができます。幼虫は、発育して成虫になった後もよく定着し、アブラムシの増殖を抑えるので、成虫を放すよりも防除効果が持続します。公設試験場の協力の下、近畿や四国の府県でその効果が実証され、株式会社アグリ総研が製剤化し、平成26年に幼虫を成分とする生物農薬として登録されました。「飛ばないナミテントウ」製剤は商品名「テントップ」として販売されています。