プレスリリース
キクの花びらが白くなるしくみが明らかに

情報公開日:2006年10月18日 (水曜日)

要約

独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 花き研究所は、白花のキクの花弁(花びら)が白いのは、キクの花弁に本来蓄積するはずの黄色の色素(カロテノイド)を分解する酵素を白花のキクが持っているためであることを明らかにしました。 キクは花弁が黄色のものと白色のものがありますが、この違いは、花弁への黄色の色素(カロテノイド)の蓄積の有無によっています。このような違いが生じるしくみを解析した結果、白花のキクの花弁にはカロテノイドを分解する酵素が存在しますが、黄花のキクの花弁には存在しないことを発見しました。RNA干渉という方法により白花ギク品種‘セイマリン’のカロテノイド分解酵素の遺伝子の働きを抑制したところ、花弁の色が黄色に変化しました。このことから、白色花弁ではカロテノイドを合成しているけれど、カロテノイド分解酵素によって分解されるので花弁が白色になことが明らかになりました。 生物体の色素がこのような仕組みで分解されて白くなるメカニズムは、植物では初めての事例です。今後は、このような仕組みが他の植物にも存在するのかどうか調べていきたいと考えています。また、この仕組みを利用して花弁の色を白から黄色、黄色から白へと、自在に変える技術を開発したいと考えています。

写真1 白色品種セイマリン 写真2 花弁の色が黄色に変化したセイマリン
写真 白色品種'セイマリン’(左)、花弁の色が黄色に変化したセイマリン(右)