プレスリリース
茶園の肥料を正確に散布できる歩行型の速度連動式施肥機

情報公開日:2005年2月28日 (月曜日)

独立行政法人 農業・生物系特定産業技術研究機構 野菜茶業研究所
有限会社 東製作所

要約

野菜茶業研究所(所長:石内傳治)及び有限会社東製作所は、茶園施肥作業において肥料を正確に散布することができる「歩行型の速度連動式施肥機」を開発しました。

茶園では環境負荷低減をねらい、きめ細かな施肥設計により肥料を削減する取り組みが進められています。ここでは設計施肥量通り正確に、かつ茶園内に均一に肥料散布できる施肥機が求められますが、一般に使用される歩行型茶園施肥機は、精度が悪いという問題がありました。

技術の特徴

開発した施肥機は、(1)ロールの回転により肥料繰出し量を調節できる「ロール式肥料繰出し機構」、(2)車輪の回転と繰出しロールの回転とを多段変速機を介して連動させる「車速連動機構」を備えることを特徴とします。

これにより肥料を正確に繰出すとともに、作業(歩行)速度が速いときは肥料繰出し量が多く、速度が遅いときは少なくなるため、面積当たり肥料散布量は常に一定にできます※。車速連動機構の伝達比は、手元の操作で簡単に切り替えできるため、肥料散布量の調整は容易です。また、多段変速機に内蔵するワンウェイクラッチにより前進時のみ肥料を繰出すなど、取り扱い性にも優れます(特許出願中)。

従来の歩行型茶園施肥機は、肥料がタンクから自由落下することで排出される仕組みで、散布量の調節は、勘に頼って排出口開度と作業速度を設定する必要があります。このため、肥料の流動性により散布精度が劣るとともに、作業速度の変化の影響で面積あたり散布量も不均一になります。

技術の活用面

全国の中小規模茶園の施肥作業を始めとして、ハウス内の施肥作業、その他小規模な畑作等での利用など。ロール式肥料繰出し機構は、茶園用肥料として一般的に使用される粒状の化学肥料から有機配合肥料まで多様な物性の肥料に対応します。


詳細情報

参考資料

写真 速度連動式施肥機