要約
野菜茶業研究所では、茶葉の含水率を1秒以内で高精度に測定する方法を開発しました(国際特許出願中)。この方法は、3kHzの周波数における電気抵抗と静電気容量から含水率を推定する方法です。製茶工程に組み込むことによって、製茶工程の高精度な制御が可能になり、高品質化が図れます。現在、実用化に向けて開発を行っています。
開発した技術
電気抵抗と静電気容量はそれぞれ茶葉の含水率と相関がありますが、実用的な精度は得られませんでした。そこで両パラメーターを用いて、含水率を推定する式を導きました。
電気抵抗と静電気容量は周波数に依存します。そこで周波数をスキャンして、これらの値と茶葉含水率との関係を調べたところ、3kHzの周波数において高い相関が得られました。茶葉含水率と3kHzにおける電気抵抗と静電気容量から推定された含水率の相関係数は0.99と実用的な精度が得られました(国際特許出願中)。
実用化の効果
製茶工程には数段階の工程があり、それぞれ最適な含水率まで乾燥させる必要があります。従来、各工程において茶葉の取り出しは人の手の感覚に頼っていました。一部では、電気抵抗式、近赤外式ならびにマイクロ波式の方法を用いて茶葉の含水率を計測する方法が実用化されておりますが、測定に時間がかかり、精度が不十分でした。開発した方法はこれらの問題を解決しております。本手法を製茶の各工程に取り入れることで、乾燥状態の制御が可能になり、茶の高品質化が図れます。
今後の発展
従来の方法では、50% wb※以上の高含水域を非破壊で計測することが困難でした。しかし本方法は80% wb※まで計測することができます。従って今後は、生葉の含水率計測装置を開発していく予定です。また製茶機械に取り付ける装置だけでなく、ハンディータイプの水分計の開発も行っていきます。
開発した方法は、茶葉だけでなく、他検体にも応用できる技術です。従って、茶だけでなく、食品の製造向けにも本センサーの用途開発を進めて行きたいと考えています。
※ % wb:湿潤基準の含水率