プレスリリース
ロングマット水耕装置の多目的利用:チューリップの促成切り花栽培

情報公開日:2001年12月 7日 (金曜日)

要約

水稲のロングマット育苗は、旧農業研究センターが開発した省力的な新技術として普及が進んでいますが、専用の水耕装置の導入が必要なため、導入時のコストのことを考えると水稲育苗以外にも利用できることが望ましいので、野菜花き品目への利用を検討しています。本研究は、こうしたロングマット水耕装置の多目的利用の一つです。

ロングマット水耕装置に園芸育苗用のセル成型トレイを並べ、低温処理を施して休眠を打破したチューリップの球根を植え付けていきます。そのとき、水耕ですので培養土は不要です。根が底穴から伸び出ていき、しっかり根が張るので球根が固定され倒伏の心配もありません。あとは断続的に水あるいは水耕液を流す方式(NFT耕という)で栽培します。従来のボックス栽培に比べると、植え付け後の移動ができないので施設の回転率は低下するものの、培養土が不要なので軽労化でき、きわめて省力となります。また、オランダから導入された水をためたところに植え付ける方式の水耕(湛液耕)が現在わずかに行われていますが、これに比較すると、球根や根の腐敗が少ない点で優れています。今後ロングマット水耕装置の多目的利用の一方法として、ロングマット利用農家への普及が見込まれています。

なお、この方法はロングマット水耕装置を離れ単なるNFT耕としてもそのまま適用可能です。

図1 チューリップ栽培中のロングマット水耕装置の断面図

写真1 根が底穴から伸長していく様子
根が底穴から伸長していく様子

写真2

写真3