「旬」の話題

今が旬の「ほうれんそう」のお話

おひたしや炒め物など、私たちの食生活においても非常に身近な野菜、ほうれんそう。hourensou1.JPG

周年栽培の技術が確立された現代では一年を通して手に入れることができますが、いちばんの旬は1月~2月頃と言われています。

今回はちょうど旬を迎えているほうれんそうについて調べていきます。

ほうれんそうの種類

ほうれんそうの原産地は西アジア~中央アジアだと言われています。そこから東西に伝わっていきました。ほうれんそうの種類をおおまかに分類すると、シルクロードを経て中国へ渡った「東洋種」、ヨーロッパ経由でアメリカに渡った「西洋種」の2種類が挙げられます。日本には東洋種が江戸時代初期、西洋種は江戸時代末期に伝わったとされています。現在の経済栽培では東洋種、西洋種をかけ合わせて育成された一代雑種が主流となっています。

東洋種、西洋種には以下のような特徴があります。

ほうれんそうの特徴
東洋種 西洋種
葉が薄くギザギザしている(剣葉)> 葉が厚く丸い(丸葉)
葉柄が長い 葉柄が短い
えぐ味・あくが少なくおひたしなどに向く えぐ味や土臭さがあり、バター炒めなどに向く

世界のほうれんそう生産量

世界のほうれんそう生産量のグラフです。

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中国が断トツ1位ですが、日本も3位に位置しています。

ほうれんそうの都道府県別生産量

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平成19年度のほうれんそう生産量は上のグラフの通りです。
関東での生産が多いことがわかります。

ほうれんそうの栄養価

ほうれんそうは「野菜の王様」と呼ばれるほど栄養分が豊富なことで知られています。
鉄分、鉄分の吸収を助けるビタミンC、カロテン、ビタミンB1、B2なども豊富に含まれています。食物繊維も多く、きわめて栄養価の高い野菜だと言えます。ちなみに、旬である冬に収穫されたほうれんそうは夏どりのものに比べてビタミンCが3倍多く含まれていることが明らかになっています。

ほうれんそうの調理方法

栄養たっぷりなほうれんそうですが、「シュウ酸」というカルシウムや鉄分の吸収を阻害し、結石の原因にもなる物質が微量に含まれています(この物質は「えぐ味」の原因でもあります)。シュウ酸は水溶性なので、茹でる・水にさらす、という調理方法で8割方減らすことができ、適量を食べる分には問題はないとされています。沸騰したお湯に根っこからいれて、1分ほど茹で、流水にさらしましょう。ゆですぎるとビタミンCも減ってしまうので、注意しましょう。

農研機構が開発した「寒締めほうれんそう」

1990年代のはじめに、旧東北農業試験場(現・農研機構 東北農業研究センター)で、北国の冬の寒さを利用した「寒締め」栽培の技術が開発されました。「寒締め」を行うことで糖度やビタミン含量が顕著に増え、逆に硝酸は減り、えぐ味成分のシュウ酸は増えないことが明らかになっています。寒さに当たると葉や茎にしわが寄ることから、「縮みほうれんそう」という名前で流通している地域もあります。栄養豊富な上に甘みも強いということで消費者に人気が高く、各地で普及が広まっています。

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