「旬」の話題

秋の野菜・くだもの切手

平成25年8月30日、日本郵便株式会社から特殊切手「野菜とくだものシリーズ 第1集」が発行されました。季節の野菜とくだものを題材とした色鮮やかなシール切手です。第1集では秋の野菜・くだものを題材としています。

秋の野菜・くだもの切手 秋の野菜・くだもの切手
特殊切手「野菜とくだものシリーズ 第1集」(左は80円切手、りんご、さといも、なし、かぶ、ぶどうのデザイン。
右は50円切手、かき、ちんげんさい、くり、さつまいも、西洋なしのデザイン)

この切手シリーズ発行には農研機構も協力し、研究者が助言・考証を行いました。各品目の代表的な特徴を表すデザインとなるよう、デザイナーに写真を提供し助言を行いました。ぶどうの色合い、栗の葉のギザギザなど細部にも注意が払われています。野菜・くだもの好きの皆様にこの切手を使っていただければ嬉しく思います。

この切手を見てもわかるように我が国には豊かな旬の食べ物があります。日本原産の作物は少ないのですが、日本人は古くから色々な作物を外国から導入し、改良の努力を続けてきました。明治以降は欧米の品種と技術も活用し飛躍的な発展がありました。現在、世界的にみても非常に品質の高い多様な品種群が作られ、私たちの食生活を豊かにしています。

農研機構もその一翼を担い多くの品種を育成してきました。今回の切手の題材となった品目だけをみても、農研機構は以下のような品種を育成しています。日頃食べている品種、最近みかけるようになった新しい品種の中に農研機構の品種がたくさんあります。この機会に、農研機構が皆様の食生活と深くかかわっていることを知っていただければ幸いです。

りんご

りんご

りんごの代名詞ともいえる「ふじ」。これも農研機構が生み出した品種です。ジューシーで甘みが強く貯蔵性も抜群です。現在、日本の栽培面積の5割を占め、世界で最も多く栽培されている品種です。

 

なし

なし

日本で一番多く栽培されているなしが「幸水」。第2位が「幸水」の子供の「豊水」です。農研機構が育成したこの2品種を合わせると全国の栽培面積の約3分の2を占めます。甘くてジューシーで歯触りも抜群の親子です。

 

ぶどう

ぶどう

最近、スーパーでも良くみられるようになった「シャインマスカット」も農研機構の品種です。大粒で食味良好、マスカット香を持つ黄緑色のぶどうです。この皮ごと食べられるぶどうは消費者に大好評で、栽培も容易なため生産が急拡大しています。

 

かき

かき

甘ガキには完全甘ガキと不完全甘ガキがありますが、望ましいのは安定して甘ガキを生産できる完全甘ガキ品種です。農研機構が育成した「早秋」は極早生で良食味な完全甘ガキ品種。へたすきはほとんど発生せず、日持ち性も優れます。

 

くり

くり 最近、秋になるとTV等でとりあげられる農研機構の栗新品種「ぽろたん」。日本の栗は大粒でおいしいけれど、外側の固い鬼皮と内側の渋皮を取り除く手間が大変です。これは電子レンジで軽く加熱するだけで簡単に渋皮が剥ける画期的な栗です。生産は急拡大中です。

 

さつまいも

さつまいも

「ベニアズマ」は日本で最も多く栽培されている青果用さつまいも品種です。ホクホクとした食感と甘さが魅力。また、愛好者がグンと増えた芋焼酎。その原料の9割以上を占めるのが「コガネセンガン」です。麦にも米にもないうまみを生み出してくれます。両方、農研機構の品種です。

 

西洋なし

西洋なし

我が国で生産されている西洋なしは海外からの導入品種が大部分ですが、最近、農研機構は大果、高品質で追熟性等諸特性に優れた早生の新品種「ジェイドスイート」を育成しました(平成23年6月に品種登録出願公表)。苗木の販売が平成24年秋から開始されています(まだ果実は流通していません)。