「旬」の話題

レモンの日

年間を通して輸入されるため旬を感じにくいレモンですが、国産の旬は秋から冬です。10月頃から果皮が青いグリーンレモンが出回り始め、12月頃には成熟したイエローレモンになります。10月5日は「レモンの日」。今回は農研機構が育成した新品種「璃の香(りのか)」などレモンの話をご紹介します。

国産レモン

我が国で流通しているレモンはアメリカなどからの輸入物が中心ですが、安心・信頼の観点などから国内産も根強い人気があります。輸入物は輸送のため収穫後に防カビ剤を使うことが多く、適正に使用されていれば安全に問題はありませんが、収穫後に農薬を使用しない国産レモンを好む人も多いようです。
10月頃から多く見られるグリーンレモンは、成熟前の果皮が青いうちに収穫されたものです。輸入物は青いうちに収穫されても輸送の過程で黄色になるのが普通なので、グリーンレモンはいかにも国産の感があります。一方、樹上で完熟したレモンは味や香りに磨きがかかります。
国内ではレモンの産地は広島県、愛媛県などです。レモンは寒さが苦手で、特に「かいよう病」などの病気に弱いため、瀬戸内地域のような温暖で雨の少ない地域に産地が限られています。

レモン新品種「璃の香(りのか)」


「璃の香」の結実の状況

「璃の香」の果実

農研機構は国産レモンの生産拡大に向け新品種「璃の香(りのか)」を育成しました。この品種は「かいよう病」に強く豊産性です。代表的なレモン品種リスボンレモンと日向夏の交配で育成されたこの品種は、従来のレモン品種より果実が大きく酸味がまろやかなうえ、搾汁率が高く果汁製品など幅広い加工用途が期待できます。また、リスボンレモンより約1ヶ月早生で、11月下旬に成熟果として収穫できます。試作試験で神奈川、三重、和歌山、広島、香川、長崎、宮崎、鹿児島の各県で有望と評価されており、全国的に普及が進むと見込まれます。苗木は平成27年秋から販売される見込みです。

レモンの日

なぜ10月5日が「レモンの日」なのか?不思議に思う方も多いのではないかと思います。この日は詩人・高村光太郎の妻である高村智恵子の命日にちなんだものとされています。精神を患い入院していた智恵子が皮ごとレモンをかじり、正気に戻って息を引き取ったことが詩集「智恵子抄」に詠われています。