「旬」の話題

日本の大豆、進化中!

農研機構は、新たな大豆品種「そらみずき」「そらみのり」「そらひびき」「そらたかく」を育成しました。

そらみずき
栽培適 関東~近畿地域
そらみのり
栽培適 東海~九州地域
そらひびき
栽培適 東北南部~北陸地域
そらたかく
栽培適 東海~九州地域

新品種の「ここ」がスゴイ!

1

同じ面積でもたくさん穫できる

従来品種と比べ、収量が各段にアップしました。特に「そらみずき」では55%、「そらたかく」では54%多収になったという結果が出ています。

<生産者のほ場における現地実証試験の結果>
2

葉焼病(はやけびょう)

細菌が引き起こす葉焼病は、温暖化に伴い増加しています。重症な場合は葉を落として減収してしまうことも。新品種はいずれも葉焼病への抵抗性を持ちます。

▶葉焼病症状の比較
3

(さや)がはじけにくく収穫しやすい

大豆の実は完熟すると、莢がはじけ、地面に落ちてしまいます。落ちた大豆は機械での収穫が難しく、収量ロスの要因の一つです。新品種は、莢がはじけにくい難裂莢性(なんれっきょうせい)という性質をもち、実質的な収量の向上に貢献します。

すくすく成長中! 「そらみのり」の生産現場の声をお届け!

ネットワーク大津株式会社

悪天候の影響で大豆の収穫量減少に悩んでいた中、「そらみのり」の存在を知りました。実際に栽培すると収穫時のロスが各段に少なく、収穫量は1.5倍以上と予想以上の結果に。品種改良の底力を体感しました。今後はさらに作付面積を拡大していき、良質で安心な大豆を届けられるよう工夫を重ねたいと思います。

代表取締役社長徳永 浩二氏(写真中央)
代表取締役社長東 鉄平氏(写真中央)

株式会社農匠なごみ

天候に左右されず安定して収穫量を得られる品種は我々の待望でした。2年間の試験栽培の結果、従来通りの栽培方法でも収量アップが叶えられ、納豆や豆腐への加工適性も認められました。生産者のみならず加工メーカーにとっても使いやすい品種であるため、今後も栽培を継続、拡大していく予定です。

まだまだ普及拡大中!

新品種のさらなる普及のために目指されているのが奨励品種への採用です。奨励品種とは、各都道府県が「わが県で普及するべき」と認めた品種。需要が高く、その地域の気候風土に合うものが選ばれます。選定されると、種子の生産や生産物の品質管理までを都道府県が担うため、より一層の普及が見込まれます。まずは全国の主要産地での採用に向けて奮闘中です。

広報誌「NARO」No.34掲載 記事