「旬」の話題

イチゴ栽培の最前線

食べる人にも作る人にも喜んでもらうために。
イチゴの栽培現場を後押しする技術が続々と生み出されています。

イチゴの生育・収量予測ツールをWAGRIで公開

農業データ連携基盤(WAGRI)とは気象や農地、収量予測など農業に役立つデータやプログラムを提供している、農研機構によるクラウドサービスです。野菜花き研究部門では、WAGRIを介して利用可能なAPI「NARO生育・収量予測ツール」を開発しており、その中にイチゴの生育や収量を予測する「NARO生育・収量予測ツール②イチゴ」を追加しました。本ツールでは、栽培施設の環境や栽培情報などを入力すると、生育や収量に関する予測データを得られます。イチゴは品種ごとに生育特性が大きく異なりますが、本ツールは全国で広く栽培されている4品種に対応しており、その数は今後も拡大予定です。これまで生産者の勘や経験値に頼る部分の大きかった生育・収量予測を誰にでも可能にすることで、栽培や販売、経営判断がしやすくなることが期待されます。

デジタルで農家を支援する公的クラウドサービス「WAGRI」

農業に役立つ数々のデータやプログラムを提供しています。ICTベンダーや農機メーカーによってそれらが活用され、生産現場の生産性や収益性を向上させるアプリケーション・WEBサービスの開発に役立てられています。

プログラム(API)利用の流れ
利用者が栽培環境や栽培情報、葉面積情報などを入力すると、本ツールを搭載したアプリケーションやWEBサービスを介して、各種予測結果が出力されます。
目標の収量に合った栽培環境が分かる!

「ハウス内の気温が◯°Cの場合の収量は?」「CO2濃度が〇ppmの場合は?」と、条件を変えながら収量のシミュレーションができるため、目標の収量を得るために適した栽培環境を知ることができます。

収量予測を見て、販売管理が可能に!

実際の気象予報データを用いることで、2週間先までの収量予測が得られます。これにより、「どこに、どれくらい出荷できるか」など具体的な販売計画を立てることができます。

普段はイチゴの栽培研究をしていますが、本ツールの開発ではプログラミングに挑戦しました。イチゴ栽培を始めたばかりの方にも、ベテランの方にも役立てていただけるとうれしいです。

野菜花き研究部門
施設生産システム研究領域
施設野菜花き生産管理システムグループ
杉山 智美 研究員

広報誌「NARO」No.37掲載 記事