品種詳細
津之輝
果樹研究所では、無加温・少加温施設栽培に適し、糖度が高く食味良好なみかん新品種「津之輝」を育成しました。本品種は、露地栽培では1月中旬から2月上旬に成熟する中生品種で果実の大きさは平均180gですが、無加温および少加温での施設栽培では12月上中旬に成熟して平均250gの大果となります。果皮は赤みがあり剥皮良好で、じょうのう膜も軟らかく食べやすいうえ、糖度は約13%と高く、減酸は比較的早く食味良好で、β-クリプトキサンチンを高濃度含有します。
主要特性
- 「津之輝」は、1月中旬~2月上旬に成熟する中生のミカンタイプ品種で、露地栽培において果汁の糖度は平均13%と高く、減酸は比較的早く、「アンコール」に似た芳香があり食味は良好です。無加温・少加温施設栽培では12月上中旬に成熟し糖度は13%以上となります(表1)。
- 果実は露地栽培の試験地の平均で180g程度、施設栽培では250g程度になります(表2)。果皮は赤橙色で赤みがあり(図1)、厚さは約3.0mmで薄く、剥皮は容易です。果肉は濃橙色で(図2)、肉質は軟らかく果汁量は多く、じょうのう膜は薄く食べやすいです(表1)。
- 雄性不稔性を持つために、他品種の花粉が受粉されなければ種なしとなり(表1)、浮皮の発生はほとんどありません。果肉には機能性成分として注目されるβ-クリプトキサンチンを高濃度含有します(表3)。
- 樹姿はやや直立性を有し、枝梢の長さ、太さは中位で密生します(図3)。結実性、隔年結果性は中位で、果実肥大期の過乾燥により裂果の発生が見られます。
- そうか病には強く、かいよう病にはかなり強い抵抗性があります。カンキツトリステザウイルスによるステムピッティングの発生は軽度です。
- 冬季の最低気温が-4°C以下に低下しない温暖なカンキツ栽培地域および施設栽培に適します。
果実
結実状況
図3 「津之輝」の樹姿(育成地 2007年9月)
出願番号 (出願日) |
公表日 | 登録番号 (登録日) |
育成者権の存続期間 |
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21450 (2007年9月11日) |
2007年12月21日 | 17970 (2009年3月19日) |
30年 (満了日:2039年3月19日) |
交配組み合わせ | 旧系統名 | ||
(清見×興津早生)-No.14×アンコール | カンキツ口之津34号 |
栽培適地
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農林認定品種
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登録番号 :みかん農林17号
登録年月日:2008年4月 -
育成担当者
松本亮司、吉岡照高、山本雅史、國賀 武、奥代直巳、吉永勝一、山田彬雄、高原利雄、三谷宣仁、浅田謙介、稗圃直史、今井 篤、池宮秀和、内原 茂、深町 浩、村田広野、野中圭介
発表論文
- 今井篤ら.2008.カンキツ新品種'津之輝'.園芸学研究第7巻別冊1:43
- 今井篤.2008 新品種の栽培技術「カンキツ・津之輝」果実日本63(12):54-56