品種詳細

かんきつ中間母本農2号

「バヒア」ネーブルオレンジと「マーシュ」グレープフルーツの間で育成された種間細胞融合雑種で四倍体の品種です。果皮が厚く、弱いオレンジ香の、「川野なつだいだい」に似た食感の良食味カンキツです。花粉稔性を有するため、育種素材として使用できます。

主要特性

  • 樹の大きさ、樹勢とも中程度で、枝梢は太く、節間長は長いです。枝梢に太く長いトゲが発生します。葉は緑色が濃く、大きく、翼葉の大きさは、両親の中間です。花弁は白色で大きく幅が広いです。めしべの発達が不完全な花も見られますが、正常な花では子房は長球形でグレープフルーツに似ています。花粉は充実しており、花粉量も多いです。花粉稔性は73.1%で、発芽率は9.9%です。ネーブルオレンジは雄性不稔ですが、本中間母本は稔性を有します。開花期はオレンジとほぼ同時期で、育成地では5月中~下旬です。
  • 果実は270gで、果形は洋梨形。果頂部が窪んでいます。果皮は濃黄色で、弱いオレンジ香を有しており、厚い。果面の粗滑は中程度で、剥皮は中です。果肉は濃黄色で、柔軟多汁です。「川野なつだいだい」に似た食感ですが食味はより良いです。果肉にも弱いオレンジ香がありますが、じょうのう膜に苦みがあります。12月中旬の分析では、果汁中の糖度は屈折計示度で12.8%と比較的高いですが、クエン酸含量が2.04%と高く、成熟期は3月中・下旬です。種子は多胚性です。
  • 「サザンレッド」、日向夏などとの交雑により三倍体実生が得られることを確認しています。

表1.「かんきつ中間母本農2号」の樹体、葉および花粉の特性

表2.「かんきつ中間母本農2号」の果実の特性

表3.「かんきつ中間母本農2号」を花粉親に用いた交雑による三倍体実生の作出

「かんきつ中間母本農2号」の果実
果実

出願番号
(出願日)
公表日 登録番号
(登録日)
育成者権の存続期間
7750
(1995年3月31日)
5667
(1997年7月28日)
18年
(満了日:2015年7月28日)
交配組み合わせ 旧系統名
マーシュグレープフルーツ+バヒアネーブル(細胞融合)

栽培適地

農林認定品種(旧:命名登録品種)

登録番号:かんきつ中間母本農2号

登録年月日:1995年8月1日

育成担当者

小林省蔵、生山 巖、中村ゆり、吉永勝一、(大河原敏文)、(石井茂孝)、(清水純一)、(斎藤 渉)※()はキッコーマン株式会社

発表論文

    1. Ohgawara T. et al. (1989) Somatic hybridization in citrus: navel orange (C. sinensis Osb.) and grapefruit (C. paradisi Macf.). Theor. appl. Genet. 78:609-612.
    2. Kobayashi S. et al. (1995) Fruit characteristics and pollen fertility of citrus somatic hybrids. J. Japan. Soc. Hort. Sci. 64:283-289.