品種詳細

かんきつ中間母本農4号

「大三島」ネーブルオレンジとユズの間で育成された種間細胞融合雑種で四倍体の品種です。果皮が厚く、柔らかなユズ香の、柔軟多汁な香酸カンキツです。花粉稔性を有するため、育種素材として使用できます。

主要特性

  • 「大三島」ネーブルオレンジの珠心カルス由来のプロトプラストとユズ実生の葉肉由来のプロトプラストを融合して育成した体細胞雑種で、平成7年8月に「かんきつ中間母本農4号」として登録・公表されました。
  • 樹は直立性で、樹勢は強。枝梢は細く、節間長は長。枝梢に太く長いトゲが発生します。葉は緑色が濃く、小さく、翼葉の大きさは、両親の中間です。花弁は白色で大きく幅がやや広いです。めしべの発達が不完全な花も見られますが、正常な花では子房は短球形で小さく、花粉は充実しており、花粉量も多いです。花粉稔性は76.0%で、発芽率は27.0%です。ネーブルオレンジは雄性不稔ですが、本中間母本は稔性を有します。開花期はオレンジとほぼ同時期で、育成地では5月中~下旬です。
  • 果実は136gで、果形は球。果皮は橙黄色で、柔らかなユズ香を有しており、厚い。果面の滑らかさは中程度で、剥皮の難易も中程度です。果肉は橙黄色で、柔軟多汁。果肉にも弱いユズ香がありますが、じょうのう膜に若干苦みがあります。12月中旬の分析では、果汁中の糖度は屈折計示度で13.2%と高いですが、クエン酸含量が5.13%と高く、ユズと同様に香酸カンキツと考えられます。種子は多胚性です。
  • クレメンティン、「清見」などとの交雑により三倍体実生の得られることが確認されています。

表1.「かんきつ中間母本農4号」の樹体、葉および花粉の特性 表2.「かんきつ中間母本農4号」の果実の特性

 表3.「かんきつ中間母本農4号」を花粉親に用いた交雑による三倍体実生の作出

「かんきつ中間母本農4号」結実状況
結実状況

出願番号
(出願日)
公表日 登録番号
(登録日)
育成者権の存続期間
7752
(1995年3月31日)
5669
(1997年7月28日)
18年
(満了日:2015年7月28日)
交配組み合わせ 旧系統名
ユズ+大三島ネーブル(細胞融合)

栽培適地

農林認定品種(旧:命名登録品種)

登録番号:かんきつ中間母本農4号

登録年月日:1995年8月1日

育成担当者

小林省蔵、生山 巖、中村ゆり、吉永勝一、(大河原敏文)、(石井茂孝)、(清水純一)、(斎藤 渉) ※()はキッコーマン株式会社

発表論文

    1. Kobayashi S. et al. (1995) Fruit characteristics and pollen fertility of citrus somatic hybrids. J. Japan. Soc. Hort. Sci. 64:283-289.