品種詳細
あすき
糖度が極めて高く食味がよい晩生のミカンです。ナイフでカットした場合のドリップが少なく、カットフルーツでの利用にも適します。
主要特性
- 1992年に果樹試験場(現農研機構果樹茶業研究部門)において、オレンジ香を有し、雄性不稔性でかつ単胚性である「カンキツ興津46号」に、良食味で、じょうのう膜が薄く食べやすい「はるみ」を交雑して得られた実生から選抜しました。2006年から2016年までカンキツ第10回系統適応性・特性検定試験に「カンキツ興津60号」として特性を検討し、2016年8月の第10回系統適応性試験成績検討会において、新品種候補としました。
- 樹勢は「あすみ」より弱く中程度です。とげの発生程度は「あすみ」より少なく短いです。隔年結果性の程度は少ないです。かいよう病の発生程度も「あすみ」より少なく、慣行防除によりそうか病の発生は認められません(表1)。
- 果実は180 g程度で、果皮は橙色です(図1)。剥皮性は中~やや難で、年によりやや剥きづらいことがあります。浮皮の発生はありません。果肉の糖度は16%程度と極めて高く、酸含量は3月下旬に1.2 g/100 ml程度となります。自然受粉条件のもとで平均7粒程度の種子が入り、無核果はほとんどありません。成熟期は3月頃です(表2)。
- 果肉部をナイフで一定容積にカットした後のドリップの程度は少なく、現在カットフルーツとして主に利用されるオレンジと同程度です(表3)。




出願番号 (出願日) |
公表日 | 登録番号 (登録日) |
育成者権の存続期間 |
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32235 (2017年6月19日) |
2017年11月16日 | 29242 (2022年6月 9日) |
30年 (満了日:2052年6月 9日) |
交配組み合わせ | 旧系統名 | ||
カンキツ興津46号×はるみ | カンキツ興津60号 |
栽培適地
- 土壌および気象条件に対する適応範囲は広いですが、成熟期が3月となるため冬季温暖な地帯での栽培に適します。福岡、長崎、鹿児島の各県において有望と評価されています。
- かいよう病の発生を抑えるために慣行のかいよう病に対する薬剤防除は必要です。かいよう病多発地帯での栽培は避け、風当たりの強くない園地もしくは防風垣の整備された園地での栽培が望ましいと考えられます。また、種子数の増加を防ぐため、周辺には花粉の多い品種の植栽を避けるようにします。
育成担当者
吉岡照高、吉田俊雄、根角博久、太田 智、喜多正幸、國賀 武、野々村睦子、中嶋直子、濵田宏子、野中圭介、瀧下文孝