おむすびなろりんの丘タイトル

ONE TEAM(ワンチーム)で研究開発! の巻

訪ねた日: 2019年11月28日
お天気: くもり

こんにちは なろりんです♪
気の向くままに全国にある農研機構の研究センターを巡って紹介しています。
82回目のなろりんリポート、略して「なろリポ」です。

今回は、栃木県那須塩原市にある、放牧家畜のエサや健康を守るための研究をおこなっている「畜産研究部門 草地利用研究領域 放牧家畜ユニット」と、研究には欠かせない家畜の管理をしている「本部管理本部 技術支援部 中央技術支援センター 那須業務科 那須家畜技術チーム」の2か所を訪ねたよ。

やってきました。那須!

はじめに「放牧家畜ユニット」の放牧家畜(主に牛さん)の健康を守るための研究をしているお部屋におじゃましました。

吸血昆虫が媒介する病気が放牧で問題になっていて、その中でも牛伝染性リンパ腫ウイルスによって引き起こされる地方病性牛伝染性リンパ腫という病気は、もし発症してしまうと経済的な損失がとても大きいため、とくに問題になっているんだって。
こちらのお部屋では、放牧のような屋外の感染を防ぐ方法を考えて調査しているよ。

牛伝染性リンパ腫ウイルスは、感染している牛を刺したアブやサシバエの口についた血を介して感染が拡がるんだって。でもその口についた血液が乾いてしまえば、感染はしないのだそう。

そこで、牛伝染性リンパ腫ウイルスに感染している牛と感染していない牛の間に5メートルの分離帯を設ける方法を試してみたのだそう。

感染している牛を刺したアブやサシバエが、次に感染していない牛の所へ飛んで行く時、少なくとも分離帯で5メートル離れていれば、その間に口についた血が乾き、感染を防げるのではないかと考え、実際に調査してみたんだって。

ドローンで上空から撮影した放牧試験場だよ! 広~い!

真ん中の肌色の部分が幅5メートルの分離帯だよ。 分離帯より上側が牛伝染性リンパ腫ウイルスに感染している牛のエリアで、下側が感染していない牛のエリア。
ちなみに黒い小さな点は牛さんたちだよ。

今年の放牧試験は終わっているので、写真で教えてもらったよ

アブやサシバエに刺されるのは痛いし、血を吸われるのは牛さんにとってもイヤなもの。 寝ているところにアブやサシバエが来ると、嫌がって立ち上がって追い払うと休息時間が減るし、食べている時に追い払うと食べる時間も減るから、生産性にかなり影響があると言われているのだそう。

放牧って、のびのびと快適に過ごしているとイメージしがちだけど、牛さんにとってストレスも色々あるんだね。

こちらは分離帯に仕掛けたトラップで捕れたアブたち。

うわ~~刺されたら痛そう!!

サシバエは、写真の一番右側。家を飛んでいるイエバエより少し小さいよ。
アブやサシバエの口はとがっていて、刺されたら痛そう。

アブの口を観察中

気になる放牧試験の結果はというと...無事、感染しなかったのだそう!

でも、屋外でおこなう試験は、気温や日照時間など毎年状況が違うので、今年一度やったからといって「この方法で大丈夫」と言えるわけではないのだそう。
来年以降も同じ内容で試して、複数年データを取って実際にこれが使えるかどうか検証するんだって。引き続きがんばってください!

そしてここからは、研究調査に欠かせない牛さんのお世話をしている「那須業務科 那須家畜技術チーム」のお仕事も紹介していくよ!

こちらでは、各作業を分担するのではなく、分べん、エサやり、搾乳、牛舎の掃除など、牛さんのお世話に係るすべての業務をみんなで担っているのだそう。

子牛から成牛まで全部のお世話ができるし、生きもの相手のお仕事だから毎日変化があってやりがいがあるよ、って話してくれたよ。

ここは、乳牛(ホルスタイン)の牛舎だよ。

こんにちは~♪

牛舎のお掃除は、なんと大きなタイヤショベルで!
牛さんたちがお外にいる時に、このショベルですくってキレイにするんだって。

幅のせまいところを通るから、テクニックが必要!

搾乳は一日2回。
出産後の牛さんは毎日搾乳しないと、乳房炎という病気になってしまうのだそう。

これで毎日しぼるんだって♪

こちらは、搾乳ロボット。
スマート農業の研究のために取り入れたんだって。

牛さんが搾られたいな~と思ったら自分でやって来てゲートに入るよ。
そうするとセンサーが探知して自動で搾乳器を取り付けるんだって。
乳搾りが終わると自動で搾乳器がはずれて、牛さんは自分で出て行くのだそう。すごい!

いっさい人はノータッチ!

次は子牛のいる建物へ。
小屋には3頭の子牛がいて、みんな今月産まれたばかり♪
なろりんたちが行くと、みんなしきりにモーモー鳴き出したよ。
そろそろミルクの時間なんだね。

おなかすいたのかな?

ミルクを作ってほ乳するのも、家畜技術チームのお仕事だよ。
産まれてからの日数で、与えるミルクの量や配合するお薬を変えるんだって。

粉ミルクがダマにならないようにしっかり混ぜるよ♪

勢いよくゴクゴク飲んでいる!

おでこのハートがキュートなこの子は、11月22日「いい夫婦」うまれ。

生まれたてホヤホヤの子牛に会えたよ!

おたんじょう おめでとう!

業務科のみなさんは、牛を飼う農家さんと同じ技術と知識を持っていて、そのほかにも研究で必要な道具をいろいろ作ってもらっているのだそう。頼もしいね!
案内してくれた研究者さんは、「業務科のみなさんがいないと、研究者だけでは研究は出来ない」と話してくれたよ。

「放牧家畜ユニット」と「那須家畜技術チーム」のみなさん♪
ありがとうございました♪

次はどこの研究センターへいこうかな。お楽しみに♪

●「畜産研究部門」の詳細は、ホームページ を見てね。

おまけ

外から病気を持ち込まないよう、防疫(ぼうえき)はしっかりとね。