おむすびなろりんの丘タイトル

なろりん、AIのお勉強をする の巻

訪ねた日: 2019年12月16日
お天気: 晴れ

こんにちは なろりんです♪
気の向くままに全国にある農研機構の研究センターを巡って紹介しています。
81回目のなろりんリポート、略して「なろリポ」です。

今回訪れたのは、茨城県つくば市にある「農業情報研究センター(農情研)」です。 平成30年10月にできたばかりの新しい研究センターだよ。
「人工知能(AI)を使って農業に関する研究をするところ」らしいのだけど、具体的にどんなお仕事をしているところなのか、お話を聴いてきたよ!

やってきました、農情研♪

農情研は、大きく3つのグループに分かれているよ。
  • 外向けに農業情報を発信するしくみを作っているところ
  • 農研機構内に向けて農業情報を発信するしくみを作っているところ
  • AIを使った研究をしているところ

まず、1) 外向けに農業情報を発信するしくみを作っているところでは、農業に関するデータを連携・共有・提供できる、農業データ連携基盤(通称:WAGRI(ワグリ))を作っているよ。このWAGRIは、農業の担い手が、いろんなデータを上手に使って農業の生産性を高めたり、経営を改善するのに挑戦できる環境づくりを目指して作られているんだって。民間の企業や団体、官公庁などが提供する気象や土地、地図情報などさまざまな情報を共有したり活用することができるのだそう。もちろん、農研機構で作られたデータやプログラムにもここで提供されているものがあるし、これからも多くのコンテンツ(なかみ)が増える予定だよ。
くわしくはWAGRI(ワグリ)のサイトを見てみてね!

次に、2)農研機構内に向けて農業情報を発信するしくみを作っているところでは、農研機構で持っているたくさんのデータを集めたデータベースを作っているよ。農研機構内の連携をこれまで以上に増やして行きたいと考えているんだって。

それから、3) AIを使った研究をしているところでは、全国の農研機構から研究者が集まっていて、AIの専門家から機械学習を使ったデータ解析の仕方を教わりながら各々の研究を進めているよ。

農情研の全体的な業務について説明してくれた企画室の方からは、「農情研の立ち上げ時、新しく組織のかたちやしくみを作っていくのはとても大変で、いろんな方たちに助けてもらったよ」、と話してくれました。

みんなの協力のおかげで、大変な時期を乗り切れたんだね♪

次に、2)と3)について、それぞれ担当している研究者さんからくわしく紹介してもらったよ!

まずは、2)農研機構内に向けて農業情報を発信するしくみ作りについて。
現在、農研機構の研究者がそれぞれ持っているさまざまなデータを集めるデータベース(DB)の準備を進めているんだって。
データベースっていうのは、データを入れる大きな箱のようなものなのだそう。

このデータベースは「農研機構統合DB(英語名:NARO Linked DB)」といって、2020年4月から運用が始まる予定なんだって。

「農研機構統合DB」は、1次DBと2次DBの2種類あるよ。
まず1次DB。こちらはデータをためておくデータベースで、カタログのような機能を持っているんだって。

研究データと一緒に、誰のどんなデータなのか書いた「メタデータ」を登録しておくことで、例えば、つくばのイネのデータないかなぁと検索すると、一覧が表示され、どこの研究センターの誰が持っているデータなのか知ることができる。

データはアクセス権が設定されているので、データの中身が知りたい時は、直接持ち主にコンタクトを取れるようにしておいて、これまで以上に農研機構内の研究者同士をつなげたいと考えているのだそう。

ふむふむ。

もう1つは、2次DB。こちらは1次DB内のデータを使って、さらに高度な解析をするデータベース。
1次DBに集められたデータの中で重要なものは、データ解析するために必要な前処理をして、2次DBに集められるよ。
そして関連するデータ同士を結びつけて表示したり、そのデータをさらにAIエンジンによって解析したりすることで、新たな知識発見をサポートしてくれるのだそう。

このデータベースを活用して、ゲノムや気象などいろんなデータを組み合わせることによって、1つ1つのデータだけでは分からなかった新しい発見があったり、イノベーションを起こせるのではないかと期待しているのだそう。ワクワクするね!

農研機構の大事な財産である研究データを、継続してしっかり守っていこうという意気込みで作っているし、研究者が使いやすいように作りたい、と話してくれたよ。
今後の展開が楽しみだね!

それから次は、3) AIを使った研究をしているところについて。
今回教えてくれたのは、イネの研究者さん。これまでずっとイネの品種改良をしていて、田んぼにいることが多く、プログラムやAIには全く無縁だったそう。

現在は、ゲノム(DNAのすべての遺伝情報)の研究者とパソコン上でシミュレーションするモデルの研究者とチームを組んで研究をしているんだって。

田んぼからデスクワークへ

イネの新しい品種を作る際、品種になれなかった候補(系統)同士を掛け合わせてつくることも多いのだそう。
経験を積んだ育種の研究者でも「この系統同士を組み合わせたらこんな子どもができる」と見極めるのは難しく、実際に育ててみないと分からないんだって。なのでいろんな組み合わせを試してみるのだそう。

もし、どんな子どもができるのか組み合わせの絞り込みができれば、時間と手間が省けるのではと思い、これまでの試験データと遺伝子の情報などを組み合わせて事前に予測できるモデルの開発に取り組んでいるのだそう。

それから、予測したものがどのくらい正しいか、実際に育ててデータを取るということもしているよ。横軸に実際に計ったデータ、縦軸に予測したデータ、真ん中の線に近い点が多いと、予測が正しいということになんだって。

へぇ~!

来年は全国6カ所の研究センターのイネの研究者さんたちにも協力してもらって、いろんな系統のイネを育てる予定なのだそう。
この研究は始まったばかりだけど、今から予測できるモデルの完成が楽しみ♪

農情研では、AIの専門家による機械学習勉強会を月に1~2回開催していて、プログラムの設計図であるソースコードを実際に書いて解析してみる、というような実践的な内容なのだそう。
難しそう、苦手だな、と思っていても、実際にどんどんやってみることが大事なんだって。

農情研は職場にAIの専門家がいるので「じゃあこういうことをやってみてはどうか?」とAIを使った研究のヒントをもらえるのも魅力のひとつ。

それから農情研内の研究報告会も月に2回ほど開いて、お互いに今どんなことに取り組んでいるのか紹介する機会を作っているんだって!

農業の研究者とAIの専門家がチームを組むことで、今までになかった新しい研究成果が生まれることを、楽しみにしています♪

センター長を囲んで♪

ありがとうございました♪

次はどこの研究センターへいこうかな。お楽しみに♪
「農業情報研究センター」の詳細は、ホームページを見てね。