国際活動

第3回NARO食と健康の国際シンポジウム開催報告

1. 会議名

第3回NARO食と健康の国際シンポジウム「FERMENTATION(発酵) - Technology and Health-」
NARO 3rd International Symposium on Food and Health "FERMENTATION - Technology and Health-"

2. 日時

2024(令和6)年4月16日(火曜日)13時00分~17時30分(日本時間)

3. 場所

ハイブリット開催(配信会場 : イイノカンファレンス)

4. 主催・後援

(主催)農研機構
(後援)農林水産省、在日フランス大使館科学技術部、公益社団法人 日本工学アカデミー
(協力)独立行政法人 日本貿易振興機構(ジェトロ)、VITAGORA

5. 参加者

参加登録者 : 859名(15の国・地域等)
当日参加者 : 618名
アーカイブ配信(6月30日まで) : ユニーク視聴数1220名、視聴回数1540回
※チャンネルごとのユニーク数はIPアドレスで区別。
※視聴数、および視聴回数はPart1~3の合計値。

6. シンポジウムの概要

【開会】

農研機構 久間理事長から、人口増加・気候変動といった「食と健康」をめぐるグローバル課題を解決するキーテクノロジーの一つが発酵であり、当シンポジウムをきっかけに、各国が持つ技術の融合促進、AI・ビッグデータを活用した先端発酵技術の開発など、新たな価値の創出に繋がることを期待するとの主催者挨拶があった。フランス国立農業・食料・環境研究所(INRAE) のMauguin理事長からは、発酵研究に関する積極的な意見交換が行われ、新たなコラボレーションにつながることを期待するとご挨拶をいただいた。農林水産技術会議の本川会長からは、持続可能で強固な食料供給基盤の構築や環境負荷低減、生産持続性を高めることが急務であり、研究開発により我が国の重要な農業政策を支えていきたいとご挨拶をいただいた。

【基調講演】

東京工業大学副学長の林宣宏教授、INRAEのDamien Paineau氏 (「未来の発酵」計画Chief Executive Officer)の2名の方から基調講演をいただいた。
① 林教授からは、プロテオミクスとAIを融合したAIプロテオミクス法による人の健康管理(病気の早期診断、高齢者の健康の見守り)や競走馬の感染症の早期診断等の応用事例の紹介のほか、AIプロテオミクス利用の未来について提言があった。
② Damien氏からは、欧州の新しい研究・イノベーションプラットフォームである「未来の発酵」計画について紹介があった。

【セッション】 「発酵と健康 Fermentation and Health Functions」
(セッションリーダー : 国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所 国立健康・栄養研究所(NIBIOHN)/小堀真珠子 食品保健機能研究部長)

本セッションでは、乳酸菌などの発酵微生物の健康機能性、澱粉の構造と消化性や機能性との関連、高アミロース小麦加工食品が腸内細菌による発酵に及ぼす影響について議論が交わされた。
講演者 : NARO(食品研)/萩達朗上級研究員、カセサート大学(タイ)/ Massalin Nakphaichit氏、NARO(食品研)/松木順子上級研究員、クイーンズランド大学(豪)/ Mike Gidley氏

【セッション】 「発酵テクノロジー Fermentation Technologies」
(セッションリーダー : NARO(食品研)/木村啓太郎 食品加工・素材研究領域長)

本セッションでは、豆乳発酵および発酵による未利用資源のアップサイクルに関し活発な議論が交わされた。
講演者 : NARO(食品研)/冨田理主任研究員、INRAE(仏)/ Gwénaël Jan氏、NARO(ロボ研)/池正和上級研究員、トゥールーズ国立応用科学院(仏)/ Ugo Javourez氏、NARO(食品研)/真野潤一上級研究員

【閉会】

鈴木理事より、「発酵」は、食を豊かにするとともに環境の持続性にも貢献し得る技術であり、本シンポジウムにより研究開発の推進や、より大きな国際協力につながることを期待する言葉で締めくくられた。

農研機構 久間理事長の開会挨拶