2025年8月、国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、第7次評価報告書(AR7)の執筆者を公式に発表しました。AR7は、IPCCの3つのワーキンググループ(WG)によって構成され、気候変動に関する科学的知見を体系的に評価する国際的な報告書です。
このたび、農研機構から以下の2名が、WG2(影響・適応・脆弱性)の著者として選出されました。
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長谷川 利拡(農業環境研究部門 エグゼクティブリサーチャー)
担当:第8章「Asia(アジア)」統括執筆責任者
※第6次評価報告書(AR6)では第5章「食料、繊維、その他の生態系産物」の統括執筆責任者(CLA: Coordinating Lead Author)を務めており(写真)、今回のAR7では異なる章で2サイクル連続してCLAに選出されたことは、IPCCにおける継続的な信頼と国際的な評価を示すものです。 - 飯泉 仁之直(農業環境研究部門気候変動適応策研究領域 上級研究員 )
担当:第17章「Agriculture, food, forestry, fibre and fisheries(農業、食料、林業、繊維および漁業)」主執筆者
※農業気象や地球規模の食料生産に関する国際的な研究実績を背景に、気候変動が農業・食料・林業・漁業分野に及ぼす影響と、それに対する適応の可能性について、科学的かつ体系的な評価に貢献します。
WG2は、気候変動が人間社会や自然環境に与える影響、適応の可能性、脆弱性に関する科学的知見を幅広く評価するグループであり、農業・食料分野に限らず、都市、健康、生態系、経済など多岐にわたる領域を対象としています。
WG2における日本からの著者選出は計8名であり、そのうち2名が農研機構から選ばれたことは、農業・環境分野における本機構の専門性が、こうした広範な国際的科学評価においても高く評価されたことを示しています。
IPCC報告書は、世界の政策決定者に向けて科学的根拠を提供する重要な文書であり、その執筆に携わることは国際的にも高い評価を受ける活動です。今回の選出は、農研機構が国内外の気候変動対応において、科学的知見の創出と発信に貢献していることを示しています。