国際活動

IEEE コフリン前会長が農研機構の九州沖縄研究拠点を視察しました

2025年4月21、22日にIEEEコフリン(Dr. Thomas M. Coughlin)前会長が農研機構の九州沖縄研究拠点を視察し、外部聴講者も招いてスマート農業に関する講演会が開催されました。農研機構とIEEEはスマート農業の開発、普及に向けてこれからも連携していきます。

写真1 NSP山鹿工場の前で左から久間理事長、島田社長、コフリン博士

2025年4月23、24日に東京で開催されたIEEE-VICS(Vision, Innovation, and Challenges Summit)会議のために訪日したIEEEコフリン(Dr. Thomas M. Coughlin)前会長、フランシス(Dr. Matt Francis)リージョン5ディレクターが、4月21,22日に農研機構の九州沖縄研究拠点を視察しました。

まず4月21日にIEEE一行は、熊本県山鹿市にあるあつまるホールディングスのNSP山鹿工場を視察しました。あつまるホールディングスは、農研機構が支援するスタートアップ企業の1つです。NSP山鹿工場は、高い衛生基準の建物(クラス10,000のクリーンレベル)の中で、最新の技術と設備により大規模に周年無菌養蚕を実現しています。繭のタンパク質は化粧品、石けん、食品添加物としても利用されています。さらに、蛍光シルク、傷を治す医療用素材、動物用経口ワクチンなどの医薬品等の多様な製品を開発中です。これらの様々な製品には農研機構が培ってきたカイコの遺伝子組換え技術やゲノム編集などバイオテクノロジーが利用されています。

写真2 九沖研の成果説明会

4月22日には、九沖研合志拠点の会議室で、IEEE一行に対しサツマイモの育種や基腐病対策、有機質資材の肥効見える化アプリ、イチゴの局所CO2施用技術の開発について、九沖研の担当者が英語で説明しました。開発した技術が他国でも応用できるのか等、沢山の質問があり、担当者から回答しました。

写真3 コフリン博士の熱心な講演

次に、コフリン博士を講師に「Enabling a Smart Agriculture Ecosystem(スマート農業エコシステムの実現)」と題した講演会を開催しました。当日は会場参加のみでしたが、熊本県を中心に企業、教育機関、研究機関、経済団体等50名を超える参加者がありました。

コフリン博士からは、IEEEの概要から始まり、IEEEのスマート農業に対するビジョンやアクションプラン、食品の殺菌・包装など個別技術、現在準備中のスマート農業に特化したウェブサイト、農業・食品に関連する標準化活動など多岐にわたる、非常に示唆に富むプレゼンテーションがなされました。

現在、農研機構とIEEEは、IEEE-SAにおいて青果物の鮮度センシングに関する国際標準の策定などで協業していますが、スマート農業に関しても連携を深めていくことが期待されます。

なお、コフリン博士はご自身のブログ(外部リンク:forbes)に、他の日本滞在中の経験と合わせ今回の九州訪問についても載せています。