中央農業研究センター

水田利用研究領域

北陸地域の水田農業が、「コシヒカリ」に代表される良食味米生産など稲作中心の経営形態から、ダイズ、麦類、野菜等の多様な作物を組み込んだ合理的な輪作、収益性の高い経営へと脱却を図り始めてからすでに相当な年月が経ちます。近年、米消費量の減少、国産のダイズ・麦類・飼料等への需要の高まり、増えつつある大規模経営体の経営安定化などの背景から、この流れは一段と加速されているところです。
そこで、当研究領域では、(1)基盤となるダイズ・麦類・水稲等を中心とした合理的輪作体系技術、(2)収益性向上に資する野菜等の生産技術、(3)各作物の省力低コスト生産技術の構築を目指して研究・開発を進めています。これらの研究を、北陸地域が抱える、冬季の積雪や春・秋の天候不順等気象条件、排水性の悪い重粘土壌の分布など土壌条件、人口密度の高さや担い手の減少など社会条件を考慮しながら、作物学、農業気象学、土壌学、水利工学、機械・施設・作業工学、病理・害虫学、農業経営学等の多分野の研究者の連携により実施しています。
目指す目標は、北陸地域の条件に適応した、高能率で高収益な水田の輪作体系・営農体系・機械作業体系、そして個別作物の省力低コスト生産技術、高品質安定多収生産技術を開発することで、地域の農業経営体、農業ビジネスの発展に貢献し、ひいては我が国の食料供給安定化にも寄与することです。
これらの目標は当領域の研究だけでは達成できません。県の農業研究機関や普及組織、現場の農業者の皆さんや農業団体、農業ビジネスをはじめとする民間企業、あるいは大学などと連携・協力することで、到達が可能であると考えています。共同研究、開発技術の共同実証などを行うことができれば幸いと考えております。

領域長

荒井 治喜(あらい みちよし)

所属グループ