令和8年4月1日付けで、農研機構北海道農業研究センターの所長を拝命しました。就任にあたり一言ご挨拶申し上げます。
北海道は、全国の耕地面積の4分の1近く(約114万1,000ha、令和5年度)を占め、農業産出額も全国の約14%(1兆3,478億円、令和5年)に達する、日本最大の食料供給地域です。また、カロリーベースの食料自給率は213%(令和5年度概算値)と全国トップクラスを誇ります。さらに、1農業経営体当たりの経営耕地面積は都府県平均の約14倍(34.0ha、令和5年)に及び、専業的で大規模な農業経営が展開されています。北海道の農業や関連産業を発展させる上で、農業技術開発には大きな期待が寄せられており、我々農研機構の職員が果たすべき役割は大きいものと、改めて自覚する次第です。
北海道農業を取り巻く情勢は大きく変化し、離農・高齢化による担い手不足、人口減少に伴う集落機能の低下や国内市場の縮小、消費者ニーズの多様化、夏季の高温化など、安定生産を脅かす課題への対応が急務です。加えて、燃料・原料の調達リスク拡大や円安等による資材高騰が経営を圧迫し、持続可能性を改めて問う状況となっています。さらに、2050年カーボンニュートラルに向け、温暖化対策と持続可能な農業への転換は待ったなしの状況です
政府は改正食料・農業・農村基本法の下、食料安全保障を政策の柱に、平時の供給力確保と不測時への備えを強化しつつ、生産性向上と持続可能性の両立を進めています。スマート農業の社会実装、フードチェーン強靭化、それらと環境と調和した食料システムとの両立を目指し、研究開発・技術実装によるイノベーションを推進します。
農研機構は、つくばの本部と専門性の高い研究所・部門、そして5地域(北海道、東北、中日本、西日本、九州沖縄)の地域農業研究センターで構成されています。北海道農業研究センターは、この総合力を生かして諸課題の解決に取り組み、省人・省力化と輪作・複合経営による作業平準化、スマート農業で大規模経営を支え、畑作・酪農・水田輪作の収益向上を通じて、食料供給の安定・強化と地域農業の持続的発展を目指します。また、気候変動による収量・品質の不安定化や資材費高騰による収益低下を新品種導入等で抑え込めるよう努力してまいります。(2026年から7年後の達成目標)。
目標達成の鍵は、ロボットやAI等を活用し、省力化や高品質生産、家畜の健全性向上を可能にするスマート農業の普及拡大です。実装には、生産者の皆様や企業の皆様との連携が不可欠であり、当センターは農研機構の研究所・部門と地域の生産者、公設試、関係団体・企業をつなぐハブとして、共同研究も含め戦略的に課題解決に取り組みます。さらに行政・農業界・産業界、大学とも連携し、北海道の食料生産基地としての地位の維持・拡大と、全国への波及による安定供給、食品産業の発展、環境負荷低減に貢献してまいります。今後ともご指導ご協力を賜りますようお願い申し上げます。
令和8年4月
農研機構北海道農業研究センター
所長 辻 博之 (つじ ひろゆき)