食品研究部門

食品流通システムユニット

役割

国民の食品に対する要求は、高鮮度志向、安全志向、健康志向など、ますます高度化・高品質化しています。このようなニーズに応えるため、流通過程における農産物・食品の品質維持に資する包装・貯蔵・輸送技術の開発とそのシステム化に関する試験研究を行っています。

食品流通システムユニットでは、流通実験棟など、食品流通時の温度、湿度、振動などの環境条件が品質に及ぼす影響を解明する実験機器、食品包装に関する試験機など品質保持に関する実験機器がそろっています。

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4連温湿度・ガス制御装置

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輸送中の振動を再現するための3次元振動シミュレータ

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フィルムの差圧式ガス・水蒸気透過率測定装置

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ヒートシールテスター

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落下試験機

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衝撃試験機

主な研究テーマ

青果物の収穫後生理の解明と鮮度マーカーの開発

カラーピーマン果実の光照射追熟技術、ダイコン青変症リスク評価技術など、収穫後生理学の観点から青果物の収穫後に起こる生理的変化の機構解明を進めています。また、遺伝子発現を利用した青果物の鮮度評価技術の開発を進めています。

3次元輸送シミュレーション法の開発

輸送振動による損傷防止を目的とした緩衝包装設計において実施される振動試験法について、従来の1次元の試験法に替わる3次元の試験法の開発を目的としています。その際、振動波形として、JISで推奨されているPSD波形だけでなく、時間波形、定常波を利用する方法、試験時間を短縮する方法、などについて検討します。

青果物の最適貯蔵条件の解明

収穫後青果物のシェルフライフ延長、品質保持を目的として、貯蔵に最適な温度、湿度、ガス環境を明らかにします。また、青果物貯蔵中の品質劣化の要因を病虫害も含めた様々な観点から解析し、対策となる技術の開発をしています。

流通中青果物の損傷防止のための包装技術の開発

イチゴやモモなど輸送中の振動・衝撃で損傷しやすい青果物について、トラック輸送時の振動データ、ハンドリング時の衝撃データ、青果物ごとの損傷しやすさなどを基に最適な包装設計を行います。

包装材料の特性評価および利用技術の開発

包装材料にまず必要な機能は保護性であり、ピンホールやヒートシール不良などのトラブルを防止するための包装設計を行います。また、低酸素、高二酸化炭素条件により青果物の品質を保持するMA(Modified Atmosphere)包装技術を開発しています。

生体電気化学・食品物性学を背景とした輸送・保蔵・加工青果物の物理特性解析

青果物の細胞組織構造・食感・色彩などに代表される物理的な性質は、流通中の青果物を評価するにあたっての重要な品質指標となります。生体電気化学や食品物性学の知見を応用し、例えば、輸送中における細胞組織の物理損傷の定量化、保蔵中に進行する組織腐敗の定量化、加工中における食感変化などの解析手法を開発し、また、それら解析手法を応用した各種青果物の品質変化予測モデルを構築しています。

メンバー

ユニット長

永田 雅靖 (ながた まさやす) / 博士 (農学) 専門:園芸利用学

上級研究員

中村 宣貴(なかむら のぶたか)/ 博士 (農学) 専門:ポストハーベスト工学

上級研究員(包装技術担当)

北澤 裕明 (きたざわ ひろあき)/博士 (工学) 専門: 緩衝包装、園芸利用学

研究員

渡邊 高志(わたなべ たかし)/専門:ポストハーベスト工学、電気化学インピーダンス、食品テクスチャー

研究員

松元 咲樹 (まつもと さき)/専門: 昆虫生理学、化学生態学

研究員

杉野 直輝 (すぎの なおき)/専門:ポストハーベスト工学、園芸利用学

主要成果

※論文等については各自のresearchmapをご参照ください。