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対象家畜牛、水牛、鹿
特徴

牛肺疫は、牛肺疫マイコプラズマによる急性の致死性感染症で、牛や水牛、鹿の法定伝染病だ。2014年現在、アフリカ大陸を中心に、中東や東南アジアの一部で発生。日本では1940年を最後に発生していない。
急性型では、感染動物は40度を超える発熱と呼吸困難、発咳(はつがい)、鼻汁漏出などの呼吸器症状を示し、食欲や元気を失って死に至る。致死率は若齢牛で比較的高く、50%以上になることもある。
死亡動物には、胸膜肺炎が特徴的に認められ、胸腔(きょうくう)への線維素の析出や胸水の貯留が起こり、肺では特徴的な大理石模様の病変が見られる。感染動物の鼻汁や気管粘液には病原体が大量に含まれ、接触あるいは飛沫(ひまつ)吸入により気道感染するため伝染力は極めて高い。
一方、慢性型では、感染しても臨床症状をほとんど示さず、健康状態、栄養状態、飼養環境の変化などのストレスを受けた場合に発症に至る。これらは保菌動物となり、数カ月間にわたり持続感染し、他の個体へ感染を広げる。
対策
本病の清浄国では、ワクチンによる予防や治療はせず、感染動物の摘発・淘汰(とうた)による防疫を行う。日本では水際検疫などで海外からの侵入防止が図られている。発生時には、牛肺疫に関する特定家畜伝染病防疫指針に基づく防疫措置が実施される。
[写真:牛肺疫における肺の大理石模様の病変(アメリカ合衆国農務省(USDA)提供)]
動物衛生研究部門 : 宗田吉広
参考情報
- 家畜の監視伝染病 牛肺疫
- 農林水産省 牛肺疫に関する特定家畜伝染病防疫指針
情報公開日 : 「家畜疾病図鑑」『日本農業新聞』 2014年2月26日、16面に掲載
情報更新日 : 2021年3月15日