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家きんコレラ急性で高い死亡率

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対象家畜鶏、あひる、七面鳥、うずら

特徴

家きんコレラ

パスツレラ・マルトシダ(細菌の一種)感染症は、種々の鳥類で散発的に発生が認められ、急性経過で死亡するものから慢性経過をとるものまで様々な病態を示す。この中で、鶏、あひる、七面鳥、うずらが急性敗血症を起こして70%以上死亡する場合が、家きんコレラとして法定伝染病に指定されている。

家きんコレラの国内発生例は1953年を最後に認められていない。感染源は不明なことが多いが、病鳥の口、鼻、結膜などから排出された菌により汚染した環境を介して、気道の呼吸器粘膜から感染が成立する。季節の変わり目の発生が比較的多いことも知られている。本菌に対する感受性は鶏よりも七面鳥や水きん類で、また雛よりも成鳥で高い。

急性例では、沈うつ、発熱、食欲廃絶、下痢、呼吸速迫、チアノーゼなどを呈して2~3日の経過で死亡する。肝臓・脾臓の腫大、肝臓の壊死巣多発、皮下や臓器漿(しょう)膜面に出血性病変がみられる。甚急性例ではほとんど症状無く死亡する。急性型から呼吸器・関節等に限局した慢性型に移行する例や、最初から比較的穏やかな経過をとる例もある。

対策

家きんコレラと診断された場合は、直ちに発生群を淘汰し、飼育場の消毒などの伝播予防措置をとる。発生群に抗菌剤投与を行うと保菌鳥となる可能性がある。海外ではワクチンが使用されているが、国内では実用化されていない。急性経過をとるため、抗体検査は診断に応用できない。

[写真:血液寒天培地上で増殖したパスツレラ・マルトシダ]

動物衛生研究部門 : 星野尾歌織

参考情報


情報公開日 : 2016年4月13日
情報更新日 : 2021年3月15日