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対象家畜牛、水牛、鹿、馬
特徴

ピロプラズマ症は、バベシア原虫あるいはタイレリア原虫の感染を原因とする疾病で、世界に広く分布する。家畜伝染病予防法では特定の原虫、すなわちバベシア・ビゲミナ(BB)およびバベシア・ボビス(Bb)[牛、水牛、鹿]、タイレリア・パルバ(Tp)[牛、水牛]、タイレリア・アヌラタ(Ta)[牛] 、バベシア・カバリ(Bc)およびタイレリア・エクイ(Te)[馬]を監視伝染病病原体に指定している。
いずれの原虫もダニによって媒介されるため、媒介ダニの分布地域に一致して本症が発生する。日本では1990年代まで沖縄県においてBB、Bb感染が認められたが、媒介ダニであるオウシマダニの撲滅により本症の発生は終息した。
主な臨床症状は、BBとBb感染では発熱、貧血、黄疸、血色素尿であり、BBによるものはダニ熱(Tick Fever)と呼ばれている。TpとTa感染では発熱とリンパ節の腫脹が認められる。Tpによるものは東海岸熱(East Coast Fever)と呼ばれ、子牛では重篤な肺水腫を起こして高い致死率を示す。Bc、Te感染では発熱、貧血、黄疸などが特徴で、死亡することもある。
対策
国内への侵入を防止するためには、発生国からの原虫感染動物はもちろん、体表に付着したダニを持ち込まないようにすることが大切である。
発生国では媒介ダニの駆除とともに、各原虫に効果のある抗原虫薬が治療に使用される。一部の国では牛への弱毒化原虫を利用した免疫付与が行われている。
[写真:赤血球内のバベシア・ビゲミナ(上)、タイレリア・エクイ(下)]
動物衛生研究部門 : 小林創太
参考情報
- 家畜の監視伝染病 ピロプラズマ症
情報公開日 : 2015年12月9日
情報更新日 : 2021年3月15日