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対象家畜牛
特徴

乳用牛が乳熱(分娩性低カルシウム血症)を伴わずに起立不能、もしくは起立困難となった状態で、分娩後7日以内の高泌乳牛に多発する。乳熱とは異なり、カルシウム剤の投与には反応せず、検査しても特定の診断名を下すことができずに、起立不能に陥った疾患の総称である。
本病は、乳熱に対する治療の遅れや大腸菌などによる甚急性乳房炎、あるいは分娩時の産道損傷、滑走や転倒による骨折、脱臼、筋損傷などによって起立困難な状態が持続し、その後の筋肉および神経のまひによって起立不能となる。
前肢に異常は見られず、後肢のまひによって脱力し、起立不能になっている場合が多い(写真)。しばしば、球節部がナックル状に湾曲する。意識は明瞭で、食欲は減退するが消失せず反すうも行う。
循環障害を伴った場合には、心拍数や呼吸数の増加、泡沫(ほうまつ)性のよだれが現れ、苦しそうな様子を示し、心臓に異常がみられることもある。
対策
多くは乳熱に続いて発症するため、乳熱を早期に発見し、治療することが予防につながる。カルシウム療法に反応しない場合は、リン剤、カリウム剤、マグネシウム剤が効果を示すことがある。起立困難になった場合は、わらなどの軟らかい敷料で寝床を作り、頻繁に寝返りを行うことによって筋肉の圧迫壊死(えし)を防ぐ。
不自然な姿勢となりやすいスタンチョンでの分娩を避け、分娩房等の広い場所を確保することが望ましい。また、滑りやすい牛床の上での分娩を避け、体に損傷を与えないようにする。分娩徴候の観察を十分に行うことが、本症の予防に重要である。
[写真:ダウナー牛症候群のため起立不能となった牛]
動物衛生研究部門 : 菊佳男、宗田吉広
情報公開日 : 「家畜疾病図鑑」『日本農業新聞』 2011年10月26日、14面に掲載
情報更新日 : 2024年10月25日