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対象家畜鶏
特徴

鶏のコクシジウム症は、コクシジウムという原虫の感染によって鶏が食欲不振や下痢を起こし、重篤な場合には衰弱して死亡することもある疾病である。監視伝染病には指定されてはいないが、コクシジウムが消毒薬に対して非常に強い耐性を持つことから、全国の養鶏施設でしばしば発生が見られる。
鶏にコクシジウム症を起こす病原体は8種知られており(Eimeria tenella、E. necatrix、E. acervulina、E. maxima、E. brunetti、E. mitis、E. praecox、E. hagani)、特にE. tenellaの感染によって起こる急性盲腸コクシジウム症、E. necatrixの感染によって起こる急性小腸コクシジウム症は、血便を呈して死亡することが多いため注意が必要である。人に感染するコクシジウムとしてトキソプラズマが有名だが、上述の8種のコクシジウムは鳥類にのみ感染する。
対策
鶏の消化管で増えたコクシジウムの卵(オーシスト)は糞便中に排出され、これを経口摂取することで別の鶏に感染する。このためオーシストを含む糞を健康な鶏がつつかないようにすることが本病の対策の中心となる。消毒剤としてオルソジクロロベンゼン製剤等が有効であるが、オーシストの感染性をなくすためには数時間かかるため、入念な消毒作業が必要である。治療剤としては、サルファ剤やピリミジン系薬剤、これらの合剤が使用される。
[写真:鶏の糞便中に排泄されたコクシジウム(Eimeria tenella)のオーシスト]
動物衛生研究部門 : 井関博
情報公開日 : 2017年4月12日