- 牛
- 鹿
- 馬
- めん羊・山羊
- 豚
- 鶏
- その他・家きん
- 蜜蜂
- その他・家畜


対象家畜牛、鹿、馬、めん羊、山羊、豚、鶏、その他家きん
特徴

白筋症は、ビタミンEあるいはセレンの欠乏によって筋線維が変性または破壊される、牛、馬、豚、羊、家禽(かきん)の病気である。
筋線維を形成する細胞の生体膜はリン脂質により構成されているが、リン脂質中に過酸化脂質が蓄積すると筋線維が変性、破壊へと進み、筋肉は白く変化して動かなくなる。ビタミンEやセレンは過酸化脂質が蓄積するのを防ぐ働きを持っている。
症状は、(1)心筋の変性により心停止となり、短時間で突然死する「甚急性型(心筋型)」(2)2、3日下痢が続いて元気を失い、歩行困難や起立不能になる「急性型(骨格筋型)」がある。生化学的所見として血液や臓器中のビタミンE、あるいはセレン濃度の低下がみられるが、最近ではセレン欠乏を伴わない例もみられている。
日本では毎年数頭から十数頭の発生がある。飼料中のビタミンEやセレンの不足、栄養の吸収不全などによって発症する。
対策
治療にはビタミンEの単独投与やセレンの単独投与、あるいは併用投与を行う。土壌が原因でセレン含量の低い飼料があるため、セレン入りミネラル鉱塩の不断給餌を行って予防する。母体の栄養不良は子どもにも反映されるので、妊娠・哺乳家畜の飼養管理にも注意が必要である。
[写真:白筋症で白くなった筋肉]
動物衛生研究部門 : 高橋雄治、青木玲二
情報公開日 : 「家畜疾病図鑑」『日本農業新聞』 2012年8月22日、14面に掲載
情報更新日 : 2024年11月18日