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対象家畜牛・水牛
特徴

アイノウイルス感染症は、アイノウイルスを原因とし、牛、水牛、めん羊、山羊に流・早・死産および先天異常子の出産といった、いわゆる異常産を引き起こす。
ウイルスは、亜熱帯から温帯地域に広く分布すると考えられ、日本では西日本を中心に1995-1996年および1998-1999年にかけて牛で数百頭規模の流行があり、その後も散発的な発生が報告されている。
ウイルスはヌカカ(体長1~3mmの吸血昆虫。写真1)により、発生量の多い初夏から秋にかけて伝播される。妊娠牛にウイルスが感染すると血液を介した胎内感染を起こし、感染直後には流産を、翌春にかけて先天異常子の出産を引き起こす。
本病に特異的な所見として、先天異常子の症状は小脳形成不全が高率で認められるほか、アカバネ病と類似した四肢や脊柱の彎曲(写真2)、孔脳症や大脳欠損(水無脳症)などの体形および中枢神経の異常がみられ、虚弱、盲目、起立不能、哺乳力の欠如を示す場合もある。
対策
先天異常子への治療法はない。母牛へのウイルス感染を防ぐことが重要であるが、殺虫剤や忌避剤により、ヌカカの吸血活動を完全に抑制することは困難なため、ワクチンを用いた母牛の免疫獲得が重要である。牛異常産混合不活化ワクチン(アカバネ病・チュウザン病・アイノウイルス感染症等)を、ヌカカの発生が増える初夏までに繁殖用の雌牛に接種することで、異常産を効果的に予防できる。
[写真1(上):ウイルスを媒介するヌカカ。左=吸血前(ウシヌカカ)、右=吸血後(シガヌカカ)
写真2(下):先天異常子(四肢のナックリングおよび脊柱S字状湾曲・斜頸が認められる)]
動物衛生研究部門 : 小林なつみ
参考情報
- 家畜の監視伝染病 アイノウイルス感染症
- 家畜疾病図鑑web アカバネ病
情報公開日 : 2018年3月14日