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気腫疽予防が重要

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対象家畜牛、水牛、鹿、めん羊、山羊、豚、いのしし

特徴

気腫疽

気腫疽は、気腫疽菌(Clostridium chauvoei)の感染によって起こる急性熱性の感染症で、牛、水牛、鹿、めん羊、山羊、豚、いのししにおいて、届出伝染病に指定されている。

腫疽は土壌および動物の腸管内に分布している気腫疽菌が、創傷部や消化管に侵入することにより発症する。反芻獣(特に牛)への感染が主で、国内でも年に数例報告されている。本病は発症すると、突然の発熱を起こし、元気消失、食欲廃絶、反芻停止などの症状が見られる。

大腿、肩などの筋肉の厚い部位が気腫性に腫脹し、圧迫すると特有の捻髪音を発する。四肢に形成されると運動機能が障害され、跛行や歩様異常を示す。病状が悪化すると呼吸困難や頻脈となり、1~2日で死亡する。

対策

本病は、一旦発症すると病状の進行が速く、致死率も高い。感染初期にペニシリンなどの抗生物質が投与されることがあるが、効果がないことが多く、治療は困難である。気腫疽不活化ワクチンが使用できることから、本菌の汚染地帯では不活化ワクチンによる予防が望ましい。

また、創傷より感染することも多いので、動物を傷つけないように、釘など深い傷を作る恐れのある物を飼育環境からこまめに取り除くことも予防法として重要である。

[写真:気腫疽菌の顕微鏡写真。青く染まる棒状の桿菌]

動物衛生研究部門 : 大倉正稔

参考情報


情報公開日 : 2018年5月9日