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- 鹿
- 馬
- めん羊・山羊
- 豚
- 鶏
- その他・家きん
- 蜜蜂
- その他・家畜


対象家畜牛、水牛
特徴

ネオスポラ原虫の感染による牛と水牛の届け出伝染病。この原虫は犬やめん羊、山羊、鹿などにも感染する。日本では、1990年代初めに牛の流産や異常産の原因として報告されて以来、季節を問わず全国的な発生が認められる。乳牛での発生が多い。
ネオスポラ原虫は、口から入った後、脳脊髄や筋肉、胎盤などの臓器に寄生し増殖する。イヌ科動物だけがオーシストと呼ばれる原虫の発育形態(直径約100分の1ミリ)を糞便に排出し、これに汚染された飼料を食べることで牛が感染する。牛では感染した原虫が体内にとどまり、胎盤を経由して胎子に移行するため、感染母牛が本症の主要な伝播源となる。
感染母牛は連続あるいは間欠的に流産や異常産を繰り返す。出生に至った新生子牛の多くは無症状であるが、まれに脳炎、心筋炎、あるいは骨格筋炎などによる麻痺が生じる。
対策
有効なワクチン、治療薬はない。
飼い犬や野犬の農場内や畜舎への侵入を防止し、飼料が犬の糞便内オーシストに汚染されないよう、また、胎盤や流死産胎子を食べられないようにする。タヌキにも注意が必要である。
流産や異常産を繰り返すネオスポラ抗体陽性牛を淘汰(とうた)して抗体陰性牛の導入を行う。
[写真:ネオスポラ原虫の走査電子顕微鏡写真。1μm(マイクロメートル)は1,000分の1ミリ]
動物衛生研究部門 : 小林創太
参考情報
- 家畜の監視伝染病 ネオスポラ症
情報公開日 : 「家畜疾病図鑑」『日本農業新聞』 2012年2月22日、16面に掲載
情報更新日 : 2021年3月15日