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対象家畜豚、いのしし
特徴

豚テシオウイルス性脳脊髄炎は、豚テシオウイルス、豚サペロウイルス、およびエンテロウイルス-Gを原因とする伝染性神経疾患で、豚といのししの届出伝染病である。以前、これらのウイルスは豚エンテロウイルス血清型1-13とされていたが、その後の遺伝子解析により3種のウイルスに分類された。
主な感染経路は、ウイルスを含んだ糞便を介した経口・経鼻感染であり、豚舎・豚房単位といった限局的な発生が多い。過去、海外では強毒株による高い罹患率と死亡率を示す症例が報告されているが、近年ではそのような症例はほとんど認められず、弱毒株に起因する症例が大半である。
発生は散発的であり、主に母豚からの移行抗体の消失する生後3~4週齢の子豚にみられ、それ以外の感染豚の大半は症状を示さない。症状として後躯麻痺などの運動障害、起立不能などの神経症状を特徴とするが、臨床症状で他の神経性疾患と鑑別することは困難である。感染したウイルス株の病原性に関わらず、症状が軽い個体では耐過すると回復することも多い。
対策
根本的な治療法はなく、対症療法を行う。過去にワクチンは存在したが、発生の減少に伴い現在は市販されていない。ウイルスは国内外の農場に広く分布しており、健康な豚の扁桃や糞便からも高率に分離されるため感染予防は困難である。
適切な飼養密度、温湿度の管理といった飼養環境の徹底、オールイン・オールアウトに基づく畜舎の消毒等が効果的であると考えられる。消毒法としては、次亜塩素酸や70%エタノールによる消毒は有効である。また、妊娠豚は分娩の1ヶ月以上前に導入し、農場の環境に馴致させるといった取り組みも、子豚に充分な移行抗体を付与するために重要とされる。
[写真:後躯麻痺を示す豚テシオウイルス性脳脊髄炎発症豚]
動物衛生研究部門 : 生澤充隆、池田圭吾
参考情報
- 家畜の監視伝染病 豚テシオウイルス性脳脊髄炎
情報公開日 : 2018年11月14日
情報更新日 : 2024年11月18日