動物衛生研究部門

家畜の監視伝染病タイトル

鶏痘 (fowl pox)

  • 鹿
  • めん羊・山羊
  • その他・家きん
  • 蜜蜂
  • その他・家畜

対象家畜 : 鶏、うずら

1. 原因

鶏痘ウイルス(Fowlpox virus)は、ポックスウイルス科(Poxviridae)、アビポックスウイルス属(Avipoxvirus)に属する。ゲノムは二本鎖DNAでエンベロープを持つ。感染性ウイルス粒子は約330×280×200nmのやや丸みを帯びたレンガ状である。乾燥に強い耐性を持つ。

2. 疫学

日齢、性別および品種に関わらず発生する。感染鶏の羽毛や病変部の瘡蓋に含まれるウイルスの直接および間接的接触や飛沫の吸入により、皮膚や粘膜の創傷部から感染する。カやワクモなどの吸血昆虫による機械的伝播もある。

3. 臨床症状

皮膚型、粘膜型、両者を発症する混合型に分類される。皮膚型では皮膚の無羽部、特に肉冠、肉垂、眼瞼、嘴などの痂皮形成が特徴的である。粘膜型では口腔、鼻腔、咽喉、気管などの粘膜に病変が認められる。粘膜の病変により飲水や呼吸が障害され、体重減少、産卵率の低下、死亡率の増加を示す場合がある。

4. 病理学的変化

皮膚や粘膜に形成された病変部の上皮細胞は著しく腫大し、増生する。感染細胞の細胞質内には、巨大な好酸性状封入体(ボリンゲル小体)が認められる。

5. 病原学的検査

病変部の乳剤を発育鶏卵の漿尿膜上に接種し、接種3~6日後に漿尿膜の腫脹とポック形成の有無を確認する。PCRでウイルス遺伝子を検出する。

6. 抗体検査

抗体検査は本病では有用でない。鶏痘ウイルス感染では、細胞性免疫と液性免疫が重要であるが、細胞性免疫検査は日常の応用は難しい。液性免疫では、中和試験、ゲル内沈降反応などがあるが疾病診断には有用でない。

7. 予防・治療

ワクチンにより予防する。弱毒生ウイルスの翼膜穿刺が一般的である。ワクチン効果は、接種7-10日後に接種部位の腫脹や痂皮形成の有無により確認する。

8. 発生情報

監視伝染病の発生状況(農林水産省)

9. 参考情報


編集 : 動物衛生研究部門
(令和6年11月 更新)