口蹄疫やアフリカ豚熱は、国境を越えて伝播し、発生国に甚大な被害をもたらす家畜の感染症です。現在日本では発生していませんが、近隣諸国では流行を繰り返しており、国内への侵入が危惧されています。またわが国では長らく発生のなかった豚熱が、2018年に本州で26年ぶりに発生し、その後野生イノシシにも広く浸潤しています。
海外病グループは、高度封じ込め施設である海外病特殊実験棟を活かし、越境性家畜感染症の防除に貢献するとともに、万一の侵入に際しても確実な防疫に役立つ迅速で正確な診断法の構築や効果的な防除法の開発に取り組んでいます。
具体的には、
- 高精度な迅速診断法の開発
- 動物実験によるウイルスの病原性の解明
- 抗ウイルス薬の探索
- 遺伝子改変技術を用いたワクチンの作出
- 越境性家畜感染症研究に適した新しい動物モデルの開発
- 宿主の免疫機構の解析
- 病性鑑定に最適な診断手法の確立や診断用試薬の製造と配布
等の研究課題や技術開発に取り組んでいます。
また「越境性」という病気の特性を踏まえて広く国際的な連携を図り、情報収集や技術普及を通じて、わが国の家畜を感染症の脅威から衛(まも)る体制の整備に努めています。