越境性家畜感染症研究領域は、小平海外病研究拠点の海外病グループ、つくばおよび鹿児島研究拠点に配置されている疫学・昆虫媒介感染症グループの2つのグループで構成され、国境を越えて広く伝播する感染症に関して、それぞれの特徴を活かした研究課題に取り組んでいます。
小平海外病研究拠点では、海外試験研究機関との連携のもとに病原体高度封じ込め施設(BSL3e)である海外病特殊実験棟を活用し、口蹄疫やアフリカ豚熱といった国際重要伝染病(海外病)の病原体の性状解析に基づく新規診断法および防除技術の開発を推進しています。一方、つくば研究拠点では、海外病を含む家畜の重要伝染病の疫学解析を通じ、感染リスクや伝播・拡大要因を解明して国や都道府県における疾病対策の高度化を図るべく研究を続けています。鹿児島研究拠点では、ヌカカなどの吸血性の節足動物によって媒介されるアルボウイルス(節足動物媒介性ウイルス)感染症の診断および予防技術の高度化や発病機序の解明に取り組んでいます。さらに、昆虫学的見地からアルボウイルスの流行動態を明らかにするため、ヌカカの生態や分布、ウイルス媒介能についても研究を行っています。