果樹茶業研究部門
安芸クイーン
果皮は鮮紅色で果肉は適度にしまり、糖度・酸度は'巨峰'なみの甘みが強い赤系の早生品種です。果粒の大きさも'巨峰'と同じくらいで房の重さは400g~500 gくらいになります。
主要特性
- 果粒は倒卵形で果粒重は'巨峰'なみの大きさで13~15 g程度です。
- 肉質は、塊状('キャンベル'のようなかみ切れない肉質)と崩壊性('甲斐路'のようなかみ切れる肉質)の中間で、果肉の硬さはジベレリン処理した果粒では'巨峰'より硬くなります。
- 甘味は高く、糖度・酸とも'巨峰'と同程度で、糖度18~20%、酸含量0.4~0.5%程度で食味が良好です。
- フォクシー香(アメリカ系ブドウの持つ香り)があります。
- 熟期は'巨峰'とほぼ同時期かやや早く、育成地(広島県東広島市安芸津町)では、8月中下旬です。
- 果房重は花穂の整形により400~500 gに作ると良いと考えられます。
- 結実性は'巨峰'より悪く、種あり栽培する場合は弱剪定が必要です。
- 満開時~満開3日後と満開10~15日後に25 ppmのジベレリンで花房(果房)処理を行うと、種なしになるとともに良く結実します。
- 種なし栽培では短梢剪定による栽培も可能です。
- 種なし栽培の場合の花穂の整形は、花穂の先端3~4 cm程度にします。
- 鮮紅色のきれいな赤色が魅力ですが、暖地ではうまく着色しないこともあります。また、寒冷地では紫色になってしまう場合があります。
- 着色を促進させるには、着果過多としないこと、着色期の果房に光を当てること、樹を落ち着かせるとともに夏季の窒素吸収を抑えることが有効です。
図1 「安芸クイーン」の結実状況
出願番号 (出願日) |
公表日 | 登録番号 (登録日) |
育成者権の存続期間 |
---|---|---|---|
4458 (1991年3月30日) |
3458 (1993年3月17日) |
18年
(満了日:2011年3月18日) |
|
交配組み合わせ | 旧系統名 | ||
巨峰×巨峰 | ブドウ安芸津13号 |
栽培適地
耐寒性は'巨峰'程度とみられ、樹勢も'巨峰'に類似していますので、栽培適地は東北地方中部以南の'巨峰'の栽培地域と一致すると思われます。農林認定品種(旧:命名登録品種)
登録番号 : ぶどう農林7号
登録年月日 : 1991年6月1日
育成担当者
山根弘康、栗原昭夫、山田昌彦、永田賢嗣、吉永勝一、岸 光夫、松本亮司、角 利昭、平林利郎、小澤俊治、角谷真奈美、佐藤明彦
発表論文
果樹試験場報告 22号, p.1-11(1992.03): ブドウ新品種'安芸クイーン'