果樹茶業研究部門

育成品種紹介

筑水(ちくすい)

ニホンナシ品種「筑水」は、関東で8月上~中旬に成熟し、「幸水」より前に収穫される極早生の赤ナシです。名前の由来は、育成地(茨城県つくば市)近くの筑波山にちなんだ「筑」と、「幸水」や「豊水」と同レベルの果実品質をもつということで「水」をとり、「筑水」となりました。

主要特性

  • 樹勢は中位で、枝の太さはやや細く、母親品種の「豊水」に似て湾曲しやすいです。「幸水」「二十世紀」「豊水」などの主要品種とは交配和合性です。
  • 果実の大きさは250g前後あり、糖度は12~13%で、酸味は少ないです。肉質は緻密で、多汁です。
  • 外観は扁円形で果面に軽度の凸凹が生じることがあります。成熟しても、ていあの部分に緑色が残りやすく、収穫適期の判定がやや困難です。

「筑水」の果実
「筑水」の果実

「筑水」の結実状況
「筑水」の結実状況

「筑水」の花(大)
「筑水」の花(大)

「筑水」の花(小)
「筑水」の花(小)

出願番号
(出願日)
公表日 登録番号
(登録日)
育成者権の存続期間
2737
(1988年3月31日)
1900年1月 1日 2060
(1989年9月19日)
18
(満了日:2007年9月20日)
交配組み合わせ 旧系統名
豊水×八幸(はっこう) ナシ筑波36号

栽培適地

全国的に糖度が高くて酸味が少なく、肉質が緻密で軟らかい特性があります。赤ナシ産地のほぼ全域でその特性が発揮できると期待されますが、早生品種であることから特に西日本の暖地でその特性が発揮されると考えられます。

農林認定品種(旧:命名登録品種)

登録番号:なし農林13号

登録年月日:1988年5月31日

育成担当者

壽 和夫、町田 裕、梶浦一郎、佐藤義彦、小園照雄、清家金嗣、金戸橘夫、大村三男、志村 勲、阿部和幸、栗原昭夫、岸本 修

発表論文

果樹試験場報告 21号, p.15-28(1991-09): ニホンナシ新品種'筑水'

農耕と園芸 43(10), p.204-206(1988): 話題の品種・新品種 肉質ち密で多汁、糖度高い新品種ナシ筑水