果樹茶業研究部門

育成品種紹介

幸水(こうすい)

ニホンナシの栽培面積の40%(2012年調査)を占める主要品種です。果実品質に優れており、新品種育成を行う上での大きな目標であるとともに、交配親として現在も利用されています。名前は親品種の「菊水」と「早生幸蔵」の一字ずつを取ってつけられました。

主要特性

  • 果実重は300g前後で、形状はやや偏円形です。
  • 糖度は12%前後で、酸味はほとんどありません。果肉は白色で、肉質は緻密で軟らかく多汁です。
  • 収穫期は関東で8月中下旬ですが、近年施設栽培が定着しており7月でも店頭に並んでいます。
  • 果皮の色は「豊水」のような赤ナシに比べてコルク層の発達が不十分な中間色タイプであり、特に施設で栽培すると湿度等の条件により果面がまだら状になりやすいです。
  • 樹勢はやや強い方に属し、短果枝の着生はやや少なく、特に若木の時代は少ないです。また、えき花芽は少なく、全体として花芽の着生は多い方ではありません。
  • 花粉は多量にあり「新水」を除けば主要品種との間には、強い交配不親和性は認められませんので、受粉樹としての価値も高いです。

「幸水」の果実
「幸水」の果実

「幸水」の結実状況
「幸水」の結実状況

 

「幸水」の花
「幸水」の花

出願番号
(出願日)
公表日 登録番号
(登録日)
育成者権の存続期間

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この品種は、種苗法による品種登録制度が行われる前に育成した品種です。 農林認定品種として登録されております。

交配組み合わせ 旧系統名
菊水×早生幸蔵(きくすい×わせこうぞう)・・・交雑年:1941年 ヰ-26

栽培適地

ナシ栽培地帯のほぼ全域に適応します。 

農林認定品種(旧:命名登録品種)

登録番号:なし農林3号

登録年月日:1959年3月1日

育成担当者

梶浦 実、森 英男、森田義彦、金戸橘夫、町田 裕

発表論文

園芸学会昭和34年度春季大会講演要旨,p1-2(1959) : 梨新品種「幸水」について

果実日本14(7), p.52-53(1959) : 梨の新品種「幸水」について

園芸作物の新品種(農林省農林水産技術会議事務局発行),p.81-82(1967-03) : 幸水(品種解説シリーズ)

農業気象(51),(1995) : 夏季の異常気象に対応可能なニホンナシ「幸水」の果実肥大予測法