果樹茶業研究部門

育成品種紹介

太秋(たいしゅう)

カキ品種「太秋」は、「富有」に「IIiG-16」を交雑して育成した極大果の甘ガキ品種です。果実が320g程度と著しく大きく、果肉は柔軟・多汁で高食味を呈することから、甘ガキ生産地域で広く普及することが期待されます。

主要特性

  • 果実の大きさは320g程度、果形は腰高な扁円形で側溝はなく、果皮色は鈍い橙色で、果面に条紋の発生が多いです。
  • 果肉の褐斑は少なく、肉質はやや緻密で軟らかいです。果汁が著しく多く、糖度は17%程度で、食味は良好です。
  • 成熟期は11月上旬で、「松本早生富有」と同時期であり、「富有」よりも1~2週間早く収穫できます。
  • 樹勢と樹の大きさは中位で、樹姿は開張と直立の中間です。耐病性と耐虫性は中位で、特に問題となる病害虫は認められていません。雌花の着生は「松本早生富有」や「富 有」よりも少ないですが、生理落果は少なく、「松本早生富有」並みの収量が得られます。

表1 カキ「太秋」の収穫期と果実特性

太秋の果実
果実

太秋の結実状況
結実状況

太秋の雌花
雌花

太秋の雄花
雄花

出願番号
(出願日)
公表日 登録番号
(登録日)
育成者権の存続期間
6752
(1994年3月31日)
1900年1月 1日 4721
(1995年9月14日)

(満了日:2013年9月14日)
交配組み合わせ 旧系統名
富有×IIiG-16 (次郎×興津15号(晩御所×花御所)) カキ安芸津10号

栽培適地

甘ガキ生産地域で広く普及することが期待されます。太平洋側では千葉県以西、日本海側では新潟県以西で栽培可能ですが、夏季の気温が十分に上がらない高冷地等では渋味の残る場合があります。

農林認定品種(旧:命名登録品種)

登録番号:かき農林7号

登録年月日:1994年8月11日

育成担当者

山根弘康、山田昌彦、栗原昭夫、吉永勝一、永田賢嗣、平川信之、佐藤明彦、松本亮司、角 利昭、平林利郎、小澤俊治、角谷真奈美、岩波 宏

発表論文

果樹試験場報告35号, p.57-73(2001-03) : カキ新品種'太秋'