哺乳動物の卵子は第1回目の減数分裂途中で長期の休止期に入り、その後減数分裂を再開し、その過程で精子の侵入を受ける。精子の侵入を受けてさらに減数分裂を進行させ、有糸分裂である卵割を行う。
1)胎子の時期の卵巣に卵子は形成されている
1)精子と卵子はその形成過程で2回の減数分裂を行い、染色体の数を母細胞の半数にします。 受精によって2種の生殖細胞が合体し、染色体数が元の数に戻ります。
卵子は精子からの一組の染色体を受け入れることによって、個体発生を開始します。 卵子は胎子期の卵巣に一次卵母細胞として、存在し、出生後に数の増加は起こらないとされています。
胎子期の180日の卵巣に原始卵胞(原始ろ胞)として卵子が存在しています。 大きな目玉のように見えるのが1個の卵子(卵母細胞)です。リング状に小さな細胞が連なった構造が見えますが、これが原始卵胞です
2)未成熟な卵子(卵核胞期)
2)卵子は卵巣の中で減数分裂第1分裂の前期のままで細胞分裂を停止した状態にいます。この時の卵子の核の状態は卵核胞期といわれます。中央に大きな円状に見えるのが卵核胞です。周囲に見えるのは卵子の栄養などを司る卵丘細胞(顆粒層細胞)です。
3)減数分裂の再開
3)出生後の体の発育とともに卵母細胞は成長し、性成熟後に減数分裂を再開するようになります。卵子(一次卵母細胞)は卵胞(ろ胞)といわれる卵巣の組織 の中にあり、この卵胞から取り出されると自然に減数分裂を再開する現象があります。卵胞から取り出して減数分裂を再開し、15時間後に第1分裂の中期に なった卵子です。
4)減数分裂第1分裂
4)同じように減数分裂第1分裂の中期の染色体像が見えます。卵子の外で赤く染まっているのは卵丘細胞です。
5)第1分裂後期
5)さらに減数分裂が進み、第1分裂の後期になり、第1極体を放出しつつある卵子です。周辺に赤く染まっているのは卵丘細胞です。
6)減数分裂の第2分裂中期
6)排卵されたときと同じ状態である減数分裂の第2分裂中期の卵子(二次卵母細胞)です。中期の核盤と第1極体がみえます。この状態で精子の侵入を待ちます。
7)受精です。卵子に侵入した精子の頭部
7)卵子に侵入した精子の頭部です。精子と卵子を一緒にして4時間後の像です。
8)受精初期
8)侵入した精子、中期像の染色体、第1極体が見えます。
9)多精子侵入
9)卵子には1個の精子が侵入すると、他の精子は卵子の中に侵入できなくなるような機構があります。この例では多くの精子が侵入しています。これでは正常には発生できません。「船頭多くして船、山に登る」
10)受精初期卵
10)侵入した精子の頭部が見えます。精子の尻尾(尾部)は頭部から切り離されます。
11)受精初期卵
11)精子の頭部と卵子の中期像の染色体が見えます。
12)第2分裂中期から後期へ
12)精子の侵入を受け、減数分裂の第2分裂の中期であった核が後期に進んでいます。紡錘体、紡錘糸がよくわかります。
13)第2分裂後期
13)第2分裂の後期の卵子です。紡錘体や紡錘糸が見え、染色質が極に集まっています。精子の頭部も膨化して大ききなっています。 。
14)雄性前核の形成
14)精子と卵子を一緒にして12時間後の卵子です。精子の頭部が雄性前核に変化しています。 その間に精子の尾部中片部がV字あるいはY字形に分離しているのが見えます。
15)雌性前核の形成
15)12時間後の卵子で、雌性前核が形成され、2個の極体が見えます。
16)雌雄前核
16)雌雄二つの前核が見えます。この中でDNA合成が行われ、遺伝情報が倍加します。
16-1)雌雄前核と分離精子尾部
16-1)雌雄前核とその間に精子の尾部中片部がVあるいはY字形に分離しているのが見えます(split tail)。
17)核膜消失
17)両前核の核膜が消失し、融合し、染色体が出現します。
18)卵割(有糸分裂中期)
18)紡錘体に並んだ染色体が両極に移動していきます。有糸分裂分裂の中期から後期に当たります。第1卵割前では個々の染色体が普通より長いという特徴があります。 。
19)卵割・有糸分裂(後期)
19)後期に当たり、両極に染色体が凝縮しています。
20)卵割(有糸分裂終期)
20)終期に近づいています。両核の間に細胞膜が形成されれば、2細胞期になります。
21)表層粒(細江実佐博士原図)
21)この図は卵子にある表層粒を特殊な方法で染色してあります。表層粒は卵子にある特殊な構造体で、受精の時に1個の精子が侵入すると、それ以上の数の精子を拒絶する働きにおいて重要な役目を果たします。受精がおきますと、IV型の様に表層粒が消失します。
一部未だ未完成です。
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