畜産研究部門

写真で見る外来雑草

ワルナスビ

学名: Solanum carolinense L.

多年草(G)北アメリカ

長い根茎をひき、茎は高さ40~70cm、黄褐色の鋭い刺があり、多くの枝に分かれる。葉は互生、長楕円形、先端はとがり、基部はくさび形、少数の波状のきょ歯があるか、または浅く羽裂し、両面とも星状毛をビロ-ド状に密生し、中央脈上にまばらに刺がある。花枝は節間部につき、数個から10個の花をつける。花冠は5裂、径2.5cm内外、白色または淡紫色。果実は球形、径1.5cm基部にがくをもち、熟すと黄色くなる。花期は6~9月。明治の末、 千葉県に牧草に混じって侵入していたという。関東地方では広く害草化し、他地方にも広がる。類似種のキンギンナスビはワルナスビに似た刺だらけの植物。花冠は径7~10mm、 深く5裂し、白色。果実は球形、径2~4 cm、未熟の時は白色で緑のすじがあり、熟すと黄色味をおびた鮮赤色となる。花期は夏。暖地の海辺に野生化する。

詳細情報

ワルナスビ Horesenettle(米)

日本では、飼料畑や永年草地の他、道路の植え込みなどでもしばしば見かけられる。また、水田の畦畔に繁茂していることもある。
種子の発芽には比較的高温が必要で、栃木県の那須地方では、平均気温が15℃以上になる5月中旬以降に出芽する。
一旦定着した場所では、根による栄養繁殖が盛んに行われる。周囲に他の植物があると、生育は抑制されるが、根は生き残るので、根絶は難しい。
根まで枯らす除草剤としては、Picloramが有望であるが、草地・飼料作での使用登録はとれていない。
果実が鳥や動物に食べられることによって、広い範囲に分布が拡大されるだろうと言われているが、具体的なデータは現在のところ無い。(もし、知っている方がおられたら、担当者:西田智子 nishida@ngri.affrc.go.jpまで、連絡をくださると大変ありがたい。)

主な文献:

総説

Bassett, I. J. and Munro, D. B. 1986. The biology of Canadian weeds 78. Solanum carolinense L. and Solanum rostratum Dunal. Can. J. Plant Sci. 66: 977-991.

竹松哲夫・一前宣正 1987. 世界の雑草I 全国農村教育協会 pp480-482

生態的特性

Ilnicki, R. D., Tisdell, T. F., Fertig, S. N. and Furrer, A. H., Jr. 1962. Life history studies as related to weed contorol in the Northeast 3. Horese-nettle. Univ. R. I. Agric. Exp. Sta. Bull.

竹松哲夫・近内誠登・竹内安智・一前宣正 1979. 多年生雑草ワルナスビの生態特性と防除に関する研究 宇都宮大学学術研究報告10(3) 93-102.

化学的防除法

梨木守・野本達郎・目黒良平 1985. ワルナスビ発生草地の追播更新におけるグリホサートの散布適期 雑草研究 Vol. 30 131-136.

Gorrell, R. M., Bingham, S. W. and Foy, C. L. 1988. Translocation and fate of Dicamba, Picloram, and Tricloppyr in Horsenettle, Solanum carolinense. Weed science. Vol. 36 447-452.

実の写真

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全体の写真

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種子の写真

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