西日本農業研究センター

所長室だより -苗作りとしっかりした設計-

田植えの終わった圃場西深津町の研究圃場は、6月には黄金色の小麦に輝いていたが、7月に入ると緑色の水稲にほぼ覆われた。
水稲育種の直播圃場は苗立ちが良く、移植圃場の稲も緑の色が濃くなってきた。
多収栽培試験の早植え水稲はしっかり分けつし、鉄コーティング直播水稲も苗立ちしたようだ。
大麦・小麦後の直播水稲もうまく出芽したようだ。
この調子でこれからの生育も順調に進んでほしい。

昔水稲の移植栽培では苗半作と言って、丈夫なしっかりした苗ができれば、その年の収量の半分は穫れたようなものだと言ったらしく、苗作りの重要性を説いていた。
作物が限られた期間に生育することを思えばまことにその通りだ。
この西深津町の圃場を見ていると、水稲の栽培における苗作りと、作物の試験研究における設計は似たようなものであり、設計がしっかり検討されていれば、期待される成果の半分以上はすでにできあがっているようなものだと思う。
この4月には圃場試験設計会議をしっかりやったから、第2期中期計画のまとめとなる優れた研究成果がたくさん出てくるに違いない。

平成22年7月
独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構
近畿中国四国農業研究センター所長
長峰司