西日本農業研究センター

所長室だより -年頭挨拶-

所長室にて職員の皆さん、あけましておめでとうございます。お正月はどうでしたか?楽しく過ごしましたか?
ただ今、堀江理事長から年頭のご挨拶がございましたが、引き続き、年頭にあたり、挨拶を申し上げたいと思います。
内容は第3期中期計画を迎えるにあたっての心構えと、仕事に対するチャレンジという話が主です。
今年は、第2期中期計画の最後の年であり、同時に第3期の始まりの年でもあります。
その意味で、今年は私たちにとって大きな節目の年であるといえます。

第2期中期計画をまもなく終え、そして第3期を迎えるにあたり、私は次の3つに留意して準備をしたいと考えています。
一つ目は、第2期中期計画で実施した研究の「棚卸」をしっかり行いたいということです。
会社や店には「棚卸」という商売の締めくくりをする作業があります。
私は研究所もまったく同じではないかと思っています。
研究職員の皆さんには、第2期中期計画を終えるにあたり、この5年間に実施してきた自らの研究、そして研究チームやサブチームの研究内容について「棚卸」をしっかりやっていただきたいと思います。
第3期を迎えるにあたり、十分な「棚卸」をすることが、新たな研究の展開につながっていくと考えます。私も所長として皆さんの研究の「棚卸」をしたいと思います。
二つ目は、第3期では近農研ならではの研究課題を立ててほしいということです。
第3期では、農研機構の研究所を横断的に組織して、大課題、そして中課題を実施する予定です。
現在、検討する時間が少ないながらも実施すべき中課題、そして小課題が議論されています。
私は、農研機構の研究所を横断的に組織するとは言いながらも、小課題などの検討において、近畿中国四国地域の地域性に立脚した研究ということを強く意識して策定することが、地域農業研究センターとして重要であると思っています。
すなわち、近農研の福山、善通寺、太田、綾部でなければできない地域性を持った新たな研究テーマを小課題として盛り込むこと、また、近畿中国四国地域の農業問題の解決に貢献できる研究テーマを小課題として計画することが重要であります。
私もその視点で策定に協力したいと思います。
三つ目は、新たな中課題、そして小課題を担当するリーダーにはなるべく新しい研究職員を据えたいということであります。
第2期の運営体制をそのまま継続するのではなく、人事の刷新を図り、中課題、そして小課題を担当するリーダーにはできるだけ新しい研究職員にお願いしたいと考えています。
さてここで、話題を変えます。
次は仕事に対するチャレンジの話です。
さきほど述べましたように、今年は節目の年です。
新たなことにチャレンジする絶好の機会であります。
そこで、職員の皆さんには、新たなことにぜひチャレンジしてほしいと思います。
まず、若手の研究職員の皆さんです。
若手の研究職員の皆さんには、海外へ出て研鑽を積んでほしいと思います。
2008年の日本人留学生の数は66,833人であり、前の年に比べますと11%も減少したとのことです。
海外留学をしても、日本へ戻ってきて就職などの問題があるためでしょうか?
海外に留学をすること、あるいは海外で研究を行うためには、いろいろな手続きがあり、それらを考えますとおっくうなことではあります。
しかし、1年以上の長期、あるいは半年くらいの中期でも海外へ出て研究することは、自らの研鑽や、自らの研究の立ち位置を確認するためには、すばらしい機会だと思います。
ぜひ狭い日本から足を一歩踏み出して、海外に出て日本を見て研究をしてください。
私も応援しますので、若手の研究職員の皆さんには、ぜひチャレンジしてほしいと思います。
次に、中堅以上の研究職員の皆さんです。
中堅以上の研究職員の皆さんには、新たな研究に果敢にチャレンジしてほしいと思います。
中堅以上の研究者の皆さんは、それぞれの研究分野で自分の土俵をしっかりと作り、その土俵の上で思う存分活躍されていることと思います。
しかし、その反面、自分の土俵の外の研究分野にはなかなか足を踏み出せないかもしれません。
中堅以上の研究職員の皆さんは、今年から始まる第3期中期計画を担う研究シーズを持っていると思いますが、近農研の将来を考えますと、次期中期計画以降の研究の展開を滞りなく進めるためのシーズの醸成がとても大切です。
そのためにも、中堅以上の研究職員には、自分の得意とする研究分野に閉じこもることなく、新たな研究に果敢にチャレンジしてほしいと思います。
一般職員の皆さんです。
この第2期期間中、一般職の業務量が増えており、また、業務内容が多岐にわたっております。
特に5年前、企画管理部に統合されてから、業務内容が一層多様になりました。
今後ともこの動きは変わることはないであろうと推察します。
そこで、一般職員の皆さんには、自らの資質を高めるべく、今年は一つ新たな目標を立てて、それにチャレンジしながら、業務に励んでほしいと思います。
技専職員の皆さんです。
農研機構の最大の長所は、広い面積の圃場や数多くの家畜を有し、そして優秀な技能を持つ技専職員の皆さんを擁して研究ができることです。
この長所は大学を見まわしてみてもほとんど持っていませんし、また、府県の試験研究センターではその能力が低下してきています。
近畿中国四国地域の農業の発展に貢献できる研究成果を生み出すためには、今後圃場や家畜を上手に使った研究がますます重要になることでしょう。
技専職員の皆さんにおかれましては、研究職員の持っているシーズを上手に膨らませられるよう、今まで以上に自らの技能を磨き上げ、必要な資格を取得するなどチャレンジをしてほしいと思います。
私も研修への参加など費用面でも応援をします。
最後に契約職員の皆さんです。
今や契約職員の皆さんの存在が無くして研究所の円滑な運営はかないません。
皆さんには、ややもすると毎日が単調な仕事の繰り返しになるかもしれませんが、上司とよく話をしながら、毎日目標を持って仕事に努めるようお願いします。
以上が仕事に対するチャレンジの話でした。
私は、昨年4月所長に就任した際、日常業務を遂行するにあたり、ホウレンソウ、すなわち報告・連絡・相談を大切にすること、農研機構の職員としての自覚を持つこと、業務災害に注意することの3つを皆さんにお願いしました。
4月に述べましたこの3つの重要性は少しも変わっておりません。
残念ながら2件の業務災害が起こってしまいましたが、残る3カ月、そして4月以降、業務災害ゼロで仕事をしていきましょう。
私も業務災害のリスクをできるだけ少なくするよう、十分目配りをしたいと思います。
最後に、職員の皆さんのけがや病気の発生を未然に防ぐことと同様に、私が大事だと考えているのは、職員の皆さんのメンタルヘルス、すなわち心の健康です。
4月から第3期に入り、中期計画を実施するための新しい運営体制が組織されるわけですが、新しい業務になかなか慣れなかったり、対人関係も新しくなったりして、悩む職員の方が出てくるかもしれません。
そのようなことがないように、私たち幹部はメンタルヘルスケアをしますが、いつでも、私たちに相談をお願いしたいと思います。
以上、昨年以上に気配りをして、明るく、働きやすい職場の環境づくりに努力をすることを皆さんに誓いまして、所長の年頭挨拶といたします。

平成23年1月
独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構
近畿中国四国農業研究センター所長
長峰司