西日本農業研究センター

所長室だより -第3期中期目標期間の業務を始めるにあたって-

第3期中期目標期間における業務を始めるにあたりまして、職員の皆さんにひと言ご挨拶を申しあげます。
今日は、3つの話題をお話しします。

一つ目は中期計画と組織体制のこと、二つ目はMVPで業務に取り組もうという話、三つ目はホウレンソウと業務災害防止・心の健康作りです。
まず、一つ目の中期計画と組織体制の話題です。
皆さんのご協力とご理解のおかげで、1年と8ヶ月をかけて検討してまいりました第3期の中期計画がようやく固まり、それらを実施する組織体制も無事発足させることができました。
まず、皆さんにお礼を申しあげます。
第3期におきましては、農研機構に課せられました研究問題を大課題、中課題として整理して、研究所間の連携を大幅に強化した課題設定とし、課題の解決に必要な研究職員と予算を配置するプロジェクト型の研究推進を行うこととしました。
そして、このような課題解決型の研究を実施する研究所側の組織体制として、近農研では6つの研究領域を設けました。
さらにそれぞれの研究領域における研究推進、若手研究員の養成、施設・機械の管理、推進会議の対応、外部との窓口対応、勤務管理などを円滑に進めるため、近農研では研究領域の下に複数の研究グループを設けることとしました。
それぞれの研究グループにはグループリーダを指名したところです。
グループリーダの皆さんには研究領域長を補佐していただきますので、よろしくお願いいたします。
第3期の中期目標期間中、近農研は、中小規模水田における輪作技術、飼料稲や牧草などを利用する牛肉生産技術、日光温室などの施設園芸技術、カンキツの高品質安定生産技術、環境負荷物質の動態モデルと環境負荷の評価法、土壌病虫害防除と耕種的防除による環境保全型野菜栽培技術の6つの中課題について戦略的に重点化して取り組みます。
そのほか、米粉など加工業務用の多収水稲品種や消化率の高い多収飼料稲品種の育成、高品質のパン用・めん用小麦品種の育成、用途別の高品質安定多収の大麦品種の育成、機械化栽培に適した豆腐用の大豆品種の育成、食品機能性成分の研究、水稲の高温障害など地球温暖化適応策、鳥獣害対策などの中課題も担当します。
戦略的に重きをおいて担当する6つの中課題は、福山、善通寺、綾部、大田の研究拠点で実施するのにふさわしく、近畿中国四国地域の農業問題の解決に大きな貢献が期待できるものであり、地域性が高い研究課題であると考えています。
また、そのほかの中課題もわが国の食料自給力の向上や農産物・食品の機能性解明などに大きく貢献できるものです。
4月の18日の週から近農研における研究設計検討会を始める予定でおります。
その検討会では、第2期中期計画における研究成果のとりまとめ、第3期の5カ年間の工程表、平成23年度の研究計画などを検討します。
今年度は第3期中期計画のスタートの年ですので、皆さんで十分検討してください。
設計の検討にあたり、3月11日に発生しました東日本大震災の影響で、今年度農研機構で使用する電力経費について一定程度の削減に協力しないといけない状況が出てくる可能性がございます。
もしそのようになる場合は、夏場に大量の電力を使うような環境制御型の実験については、設計を変更せざるを得ないこともあります。
そうした事態発生も頭に入れながら設計の検討をお願いしたいと思います。
さらには建物の空調についても一定程度の電力経費節減をお願いすることがあります。
今年の年頭挨拶で、私は、研究職員の皆さんに第3期中期計画で実施した研究の「棚卸」をしっかり行うようにと申しあげました。
4月になった今、「棚卸」は十分行われたことと思いますので、第3期の中期計画の達成に向けて研究職員の皆さんには決意を新たにして奮起をお願いしたいと思います。
そして、夢のある研究をしましょう。

二つ目の話題は、MVPで業務に取り組もうということです。
MVPと言いますと、プロ野球の月間MVPや年間MVPを思い浮かべるかもしれませんが、今日、私がお話しますMVPは、それとは違います。
このMVPは、将棋の羽生名人が「大局観」という本に書かれていたものですが、第3期中期計画を実施するにあたり、大変参考になるのではないかと考えましたので、披露します。
Mはミッションの頭文字M、Vはビジョンの頭文字V、Pはパッションの頭文字Pのことです。
ミッションには使命、あるいは天職という意味が、ビジョンには展望、あるいは構想という意味が、そして、パッションには情熱、あるいは熱情という意味がそれぞれあります。
農研機構の第3期中期目標に基づく中期計画が策定され、大課題や中課題が定められました。
まさに中期計画やそれを達成する具体的な大課題や中課題は、私たち農研機構の職員に与えられました使命、すなわちミッションそのものであります。
与えられましたミッションに対して、どのように達成していくのか、どのように攻めていくのかということが展望であり、構想であります。すなわち、ビジョンというものであります。
そして、そのミッションに取り組む姿勢として望まれるものが情熱であり、熱情であります。つまりパッションです。
年頭の挨拶でチャレンジという話をしましたが、ものごとにチャレンジする心というのは、まさにパッションの一つだと思います。
今申しあげましたMVPは研究職員だけに申しているのではありません。
一般職員、技専職員そして契約職員の皆さん全員が、第3期中期期間中、MVPということを頭にいつも持ちながら業務にあたってほしいと思います。
すなわち、自分に与えられたミッションはどういう内容なのかを正しく理解して、そのミッションに対してしっかりとしたビジョンを組立てて、そしてミッションに対して高いパッションを持って取り組むということであります。
皆さん、第3期中期期間中はMVPで業務を行いましょう。

三つ目のホウレンソウと業務災害防止・心の健康作りの話題です。
まずお願いしたいのは、業務を行うにあたってホウレンソウを徹底してほしいことです。
昨年4月にもホウレンソウの話をしましたが、昨年度若干忘れられていることがございました。
この4月から近農研において研究関係では研究領域長、その下にグループリーダを配置するレポートラインを新しく発足させました。
多くの研究の業務に関する指示や意見の収集は、企画管理部長あるいは企画管理部から研究領域長、そしてグループリーダ、それからグループ員という流れで行いますので、ホウレンソウを忘れずに励行願います。
一般職員と研究職員、研究職員と技専職員そして契約職員との間の日常業務の連携におきましてもこのホウレンソウをいつも思い起こしてください。よろしくお願いいたします。
次に、お願いしたいのは、労働災害の防止と心の健康作りです。
私は、昨年4月に就任した時の挨拶でも、さらに今年の年頭の挨拶でも労働災害の防止について話をしました。
しかし、昨年度残念ながら近農研では3件の労働災害が発生してしまいました。
いずれもあと少しの注意があれば、事故には至らなかったのではないかと私は思っています。
災害に遭いますと、ご本人ばかりでなく、周囲にも影響が生じます。
今年こそ、近農研は労働災害ゼロを目指して業務に努めたいと思います。
管理者もリスクアセスメントを行い、事故の起こりそうな箇所の安全対策に取り組みますので、ご協力をよろしくお願いします。
4月に入りました。
第3期中期目標期間が始まり、新たな組織体制で新しい仲間とともに業務を始めることになりました。
職員の中には、そのような職場環境の変化がストレスになる方もいらっしゃるかもしれません。
私たち管理者は目配りをいたしますが、皆さんも、心の健康作りにも十分注意を払ってください。
何かございましたら、いつでもご相談願います。
以上、お願いごとを含めまして、第3期中期目標期間の業務を始めるにあたっての挨拶といたします。

平成23年4月
独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構
近畿中国四国農業研究センター所長
長峰司