西日本農業研究センター

所長室だより -所長就任にあたって-

所長の写真(本館屋上にて)

近畿中国四国農業研究センターのホームページをご覧いただき、有り難うございます。4月1日付で近畿中国四国農業研究センター所長に就任しました尾関秀樹(おぜきひでき)です。前任の長峰司所長よりバトンタッチすることになりましたが、これまで受け継がれてきた関係の皆様方との連携・協力関係をさらに発展させていきたいと考えており、今後とも宜しくお願い申し上げます。

さて、所長就任に当たりまして、プロフィールと私の思いについて、簡単に紹介をさせていただきます。

【プロフィール】

1977年(昭和52年)4月に農林省(現農林水産省)に採用されて以降、行政職として主に企画・調査関係の行政部局を回ってきました。1995年(平成7年)に研究職に鞍替えした後は、農業計画論・政策評価法を専門とした社会科学研究や研究企画などの管理業務に携わってきました。また、2006年(平成18年)から2年間は当研究センターの中山間耕畜連携・水田輪作研究チーム長として、現場密着型の土地利用型農業研究を担当しました。その際には公設試験研究機関・農業団体等の皆様方には大変にお世話になり、改めて感謝申し上げます。

【私が目指したいもの】

□ 農業技術開発を通じて地域経済の発展に貢献します

近畿中国四国農業研究センターは、近畿中国四国地域に関わる農業技術上の研究課題を的確には握するとともに、これらの課題解決に向けた技術的提案を行い、農業技術開発を通じて地域農業・農村の発展と新たな産業の創出に貢献します。このため、特に公設試験研究機関や行政機関との研究連携を重視し、現場の目線に立った革新的な技術の開発に取り組みます。民間企業や大学との連携も強化して、各機関の持つ得意分野を相互に持ち寄りながら、新たな価値の創造にチャレンジします。

また、当研究センターは、研究の専門性と地域性の両側面から総合的に展開している農研機構の内部研究所としての強みを生かしながら、近畿中国四国地域における農業技術開発の総合窓口機能を発揮します。このため、技術開発に関する情報発信機能を強化し、さらには技術上の各種相談・問合せにも積極的に対応します。

□ 存在感があり、頼りにされる近畿中国四国農業研究センターを目指します

公的研究機関として優れた研究成果を生み出すことは当然のことですが、加えて、これらの研究成果を生産現場、民間企業、行政機関などの社会に確実に実装し、地域農業・農村の問題解決と新機軸の分野開拓に向けて積極的に汗を流したいと考えています。このためには、研究シーズの開発から現場普及に至る個々の研究プロセスにおいて、組織全体のチームワークを発揮して、切れ目のない対応を行うことが極めて重要です。こうした取組みを通じて、当研究センターは、地域農業研究の結節点としてコーディネート機能の発揮に努めます。

□ 直面する農業現場の問題解決に正面から取り組みます

農業労働力の高齢化と地域経済の低迷が続く一方で、グローバル化の影響は着実に押し寄せて来ています。農業の生産性向上や高付加価値化、さらには農産物輸出も視野に入れた足腰の強い農業の確立は待ったなしの状況です。しかしながら、特に近畿中国四国地域においては、経済性だけでは律し切れない中山間地域特有の多くの問題を抱えていることも事実です。農業の衰退が地域全体の疲弊を招くようなことがあってはなりません。当研究センターは、技術的な対応策の提案を通じて、農業の生産性向上と農村の活性化に積極的に対応します。

□ 東日本大震災からの農業復興に貢献します

農研機構は、これまでの約2年間、福島県における農業放射能汚染への対応、宮城県・岩手県における津波・地震被害からの復興に対して、組織を総動員して震災復興研究に取り組んできました。今後とも、一日も早い東北農業の復興を願って、当研究センターの職員もそれぞれの持つ専門性を活かしながら積極的に対応します。

□ 公的研究機関としての適切な組織運営に努めます

農研機構は主に国からの研究予算を財源として組織運営がなされている公的研究機関です。当研究センターにおいては、職員一人一人が明確な組織のミッションを共有し、近畿中国四国地域の農業発展に向けた高いモチベーションと倫理意識を持つことを最優先とします。コンプライアンスに対する高い自覚を維持しつつ、日常的な組織の管理と点検を適切に行い、公的研究機関としての社会的責任を果たします。

以上、就任にあたって、私の思いを紹介させていただきました。今後とも、様々な会議や催し物などの場でお会いできる機会もあろうかと思いますが、どうぞ宜しくお願いいたします。

2013年(平成25年)4月

近畿中国四国農業研究センター所長

尾関秀樹

(追伸)

近畿中国四国地域の豊かな自然・農村・伝統に魅せられて、棚田、農山漁村景観、伝統行事、花火などの写真を撮り溜めています。今回は愛媛県宇和島市の遊子・水荷浦(ゆす・みずがうら)の段畑をご紹介します。先人の知恵と不断の努力によって築かれたこの段畑は圧巻です。良好な維持管理がなされる中、是非とも後世にまで継承したいかけがえのない遺産です。

-耕して天に至る-

遊子水荷浦(ゆずみがうら)段々畑:愛媛県宇和島市遊子水荷浦(ゆす・みずがうら)段々畑:愛媛県宇和島市